チョコザップ「将来目標1万店」の裏にある現実、マシン故障に不満の声も・・・「安かろう悪かろう」回避の正念場
「こんなの初めて」。物珍しい様子で立ち止まった女性の視線の先にあったのは、なすやニンジン、彩り鮮やかなパプリカなどの野菜。そこで行われていたのは産地直送野菜の詰め放題だった。 【写真】故障中のポップが貼られた4台のランニングマシン この女性が驚きの声を上げたのは、場所が食品スーパーなどではなく、運動をするジムだったためだ。女性は野菜を詰め終えた後、ロッカーに荷物を置き、トレーニング器具へと向かった。 2月上旬、野菜の詰め放題イベントを開いていたのは、月額2980円(税抜き)の廉価ジム「chocoZAP(チョコザップ)」だ。RIZAPグループ(ライザップ)が2022年7月から展開を始めた新業態となる。
会員数は110万人を超え、エニタイムフィットネスを抜きフィットネスジム日本一に。大量出店を続けつつ、展開開始から1年超で単月黒字化を達成。セルフ脱毛やランドリー(洗濯機)、カラオケまで利用できる店舗もあるなど、話題に事欠かない。 ■繁盛店に並んでいた故障マシン この日開かれた野菜詰め放題イベントは限定企画だった。一定期間内に週1回以上の来店者が最も多かった店舗を全国7つの地域別に選出。その店舗でイベントを開いた。関東地区ではさいたま市にある浦和店で実施した。
チョコザップは2月時点で約1300店舗、1店舗平均で約840人の会員がいる。イベントの開かれた浦和店はその中でも繁盛店だ。 だが、同イベントスペースの近くに置かれていた4台のトレッドミル(ランニングマシン)にふと目を移すと、すべてに「故障中」のポップが貼られていた。 ライザップによると、店舗設置のマシン総台数に対する故障台数の比率は3月時点で約1%。利用はできるが不具合が生じている台数の比率は2.7%だ。故障率については一時期5%を超えていたというので改善は進んでいるといえる。しかし利用会員の体感はまた別ではないか。
「故障している機械を早く修理して」「利用したくてもできません」――。SNS上では器具の故障に対する不満が散見される。ライザップの瀬戸健社長はこの状況をどう認識しているのか。 「マシンが動く、使えることは最低限必要なこと」。東洋経済の取材に瀬戸社長はそう認める。そのうえでチョコザップの運営は「まだ試行錯誤の段階」と話す。 チョコザップは常駐スタッフがいない無人店だ。そのため普段はAI(人工知能)カメラなどを用いて遠隔で監視・コントロールしている。