SNS内でもAIの利用が主流に? 10億ユーザーを狙うリンクトインの戦略とは
ビジネスパーソンに個別のスキルアップ提案も
リンクトインは、スキルアップのための学習コンテンツ提供も行っており、Eラーニングプラットフォームとしての側面も持っている。 今回の発表では、同プラットフォームの学習体験においてもジェネレーティブAIによるアップグレードが実施されることが明らかにされた。 発表によると、ジェネレーティブAI、ユーザーのプロフィール情報、そしてEラーニングプラットフォームであるLinkedIn Learningのライブラリ情報を活用した、学習パーソナライズチャットボットが提供される予定だ。 グーグル検索やChatGPTなど、既存の検索エンジンやAIチャットツールは、さまざまな質問に回答することが可能であるが、その回答はジェネリックなもので、個人の文脈に沿ったものではない。 新たに導入されるリンクトインチャットAIは、ユーザーが質問すると、AIがさらに詳細な質問を行い、その質問の文脈や意図を明らかにし、パーソナライズされた回答を生成することが可能という。 その際、チャットAIは、LinkedIn Learningの学習動画コンテンツを参照し、ユーザーの役職、スキルセット、キャリアの目標などの情報を踏まえ、関連性のある提案を生成するという。 LinkedIn Learningには「エクセルの使い方」や「Pythonの使い方」などのハードスキルを学習するものから「マネジメント」や「コミュニケーション」などソフトスキルを学べるものまで、約3000人の専門家による動画コンテンツがある。チャットAIは、これら大量のスキルアップコンテンツから、ユーザー個人のスキルレベルに合わせた情報を選定し、動画リンクとともに、アドバイスを生成する。 このチャットAIツールは、現在一部のユーザーに提供されており、今後数カ月でLinkedIn Learning Hubの全ユーザーに展開される見込みとなっている。 このほか10月の発表では、リンクトイン内で利用できるB2BマーケティングAIツール「Accelerate」も明らかにされた。これは、マーケティングキャンペーンのプロセスを大幅に自動化するAIツール。キャンペーン管理ページで、宣伝したいプロダクトのウェブリンクを提供するだけで、AIが企業のリンクトインページ、およびユーザーの広告データを分析し、キャンペーンをレコメンドする。また、顧客データを活用して、クリエイティブとオーディエンスも自動で構築できるという。 ジェネレーティブAIに多大な投資を行うマイクロソフトを親会社にもつリンクトイン。今後もさまざまなジェネレーティブAI施策が登場しそうだ。
文:細谷元(Livit)