法事にあんパン配ります 島根県の謎文化、その由来は?
島根県の一部では法事の引き出物に、あんパンなど通称「法事パン」を配る文化がある。「法事用パン承ります」の看板が立っているパン店もある。まんじゅうや焼き菓子だけではなく、なぜパンなのか。100年以上の歴史があるキッチンおかだ(松江市)が経営するパン店「パンタグラフ」で聞いてみた。 【写真】ハスが描かれた袋に入った法事パン 「詳しいルーツは不明だが、元々はあんパンではなく、あんこ餅だったと聞く」と島貫宏次社長は説明する。島根とあんこは関係が深く、一説では出雲地方の神社で旧暦10月に営まれる神在(かみあり)祭で振る舞う「神在(じんざい)餅」が、「ぜんざい」の由来となったという。松江市にはあんこを使った和菓子の文化も根付いている。
「大正時代から売っていた」
大正時代に製パン業を始めた時から法事パンは売っていたという。島貫社長は「当時パンは高級品で、配ると喜ばれるものだった。高齢者も食べやすく、法事に向いていたのでは」と定着していった理由を推測する。10、11月は注文が多く、毎週のように予約が入る。 店では焼きたてをハスが描かれた袋に詰めて提供する。つぶあん、こしあん、メロンパンを中心に、希望があればクリームパン、クロワッサンなどにも対応。時代と共に種類も増えている。
中国新聞社