万歳(10月10日)
令和に入り2度目の万歳はどこか威勢を欠いて響いた。与野党問わず今の国会に渦巻く、この衆院解散へのさまざまな不平不満を表すかのように▼漢字の妙だ。万歳を「バンゼイ」と読むと、長い年月、万年の意味を持つ(大辞泉)。「万年候補」の異名を取ったのは石破茂首相。5度目の挑戦で頂点に駆け登った。かつて自らを赤穂浪士の大石内蔵助に例え、〈来るかもしれない出番に備えて研鑽を積んでおきたい〉と著書で表明した(異論正論)。蓄え、磨いた政見は有権者に響くか▼こちらは、「万年野党」から一刻も早く抜け出したいところだろう。立憲民主党の野田佳彦代表。総理の椅子の座り心地を知る身だけに、思いはひとしおに違いない。「ふがいない」と、人心が離れた12年前の雪辱を果たす秘策はあるか。〈原点は田中金脈、この国の金権風土を直したいということ〉(民主の敵)。まさに、時機到来にも見えるが…▼2人は奇しくも、同じ1957(昭和32)年生まれ。いずれも名うての論客で通る。どうか、火花散る論戦を。国民にすれば、諦めのバンザイだけはご免だろう。政権選択の戦いが始まる。政界の万年暦をつむぐ主は、果たしてどちらか。<2024・10・10>