夫は"味の外交官" 日本外交を和食で支える岐阜の夫婦 VIPを招いた重要なレセプションの舞台裏に密着!
日本外交の最前線に、日の丸を背負うサムライのような料理人がいました。岐阜の料理人・高見直樹さん。オーストラリアの日本大使館で腕をふるう公邸料理人です。そして、料理のことしか頭にない直樹さんを影で支えているのが妻の高見愛子さん。そんな日本外交を味で支える岐阜の夫婦が、今回、大使館主催の重要なレセプションで大役を任されることに。取材班は特別に許可をもらい夫婦の活躍を追いました。
「大将と一緒ならコケてもいい」 岐阜の料理店からオーストラリアの公邸料理人へ! 夫婦の新たな挑戦
以前は岐阜市で1日1組限定の小さな料理店を営んでいた高見さん夫婦。全国から選び抜いた食材は、大将の手にかかると魔法のように生まれ変わります。その味が評判を呼び、いつしか予約の取れない人気店に。料理以外は興味がないという寡黙で職人肌の大将と、明るく社交的なおかみ。お互いの足りないところを補い合うデコボコ夫婦が、力を合わせて店を切り盛りしていました。 ですが4年前、夫婦は大きな決断を下しました。なんと、オーストラリアで公邸料理人として働くという新たな挑戦を始めたのです。決断に至った理由を二人はこのように話します。 高見直樹さん: 「どんどん進化するんですよね、料理って。閉じこもっていると周りが変化しているのに気づかない」 高見愛子さん: 「私たち英語なんて全然しゃべれないんですけど、大将と一緒ならコケてもいいかなって」 公邸料理人の公募を知った直樹さんは、料理人として次のステージへ進むために応募を決意。そして見事に採用され、2人はオーストラリアにやって来たのです。
口下手な大将に課せられた重要ミッション 絶対に失敗は許されない…。
2人が働くのはオーストラリアの首都キャンベラ。各国の大使館が集中している外交活動が盛んな街なので、会食も頻繁に行われます。 場所が変わっても料理に向き合う夫婦の姿勢は変わりません。駐オーストラリア日本国特命全権大使の鈴木量博大使からも「アイアンシェフ」と称されるほど大将の料理は大好評。おかみも大将が料理だけに集中できるよう、あらゆるケアをしています。海がないキャンベラで新鮮な魚を仕入れるためには、およそ300キロ離れた港町シドニーで手配しなければいけないのですが、おかみにかかればお手の物。今ではキャンベラで評判の店も知り尽くしていると言います。おかげで英語も上達したそうですが、口下手な大将は買い物も一人では不安なようで…。 そんな中、鈴木大使から夫婦に重要なミッションが伝えられました。年に一度開かれる自衛隊記念日レセプションで、大将に寿司を握りながら解説するパフォーマンスをしてほしいというのです。日本とオーストラリアの友好関係を強化するための重要なレセプションには、大勢のVIPが招待されます。しかも、今年5月にトルコからオーストラリアに赴任した鈴木大使は、ここで大きなレセプションを開催するのは初めて。絶対に失敗は許されません。口下手な大将は、このミッションを成功させることができるのでしょうか。