「体中の骨が折れていた」被害者遺族の悲痛な思い…東京・狛江の強盗致死事件で「ルフィ」実行役の元少年に検察は懲役25年を求刑、弁護側は被害者の死亡には関わっていないとして刑の軽減求め結審
争点は被告が被害者の死亡に関わったかどうか
続いて行われた検察の論告。中西被告は、宅配業者を装って女性の家に侵入し、女性が抵抗できないよう結束バンドで縛り付け、タオルで口を塞いだと指摘。女性が死亡するに至った前提となる暴行を中西被告が行ったと述べました。さらに他の仲間が、女性に対して暴行を加えるところを目撃した上で、バールを持った仲間の元へ女性を運んでいることなどから、強盗に暴力が伴うことを認識し、それを共有していたことは明らかで、強盗致死罪が成立すると主張。中西被告がバールや拳などで直接暴行を加えていないことや、当時19歳少年であったことを踏まえても大きく刑を軽くするのは妥当ではないとし、懲役25年を求刑した。 一方の弁護側。中西被告は結束バンドで縛りやすいように女性の肘を押さえただけで、タオルも軽く当てただけだとし、バールについては金庫を開けるためのもので、拷問のために使用することを認識しておらず、実際に暴行も加えていないと反論した。また犯行前、別の実行役として起訴されている当時、金沢市在住の永田陸人被告に、道案内ができないことでひどく叱責されて恐怖心を持ち、その指示に従ったに過ぎないと述べた。さらに中西被告が深く反省し、将来は弁護士になりたいとの夢を語っていることなどから更生の兆しが見えているとして、懲役13年の判決を求めた。
最終陳述にも落ち着いた声で「償い続けることを誓います」
被告人の最終陳述、スーツに青いネクタイ姿で証言台に立った中西被告。 「事件に関わることになったきっかけは覚えています。金に苦心し、シュガーさん(指示役の男)の甘い誘惑に乗ってしまいました。仲間のカトウ(広島県での強盗に関与していると見られる実行役の男)が捕まっていなかったことも私の背を押し、事件に関わってしまいました。1月19日(事件の日)は自分にとって、被害者にとって分岐点でした。誘惑に負けず、踏みとどまっていればと申し訳なく思っています。でも事実として1月19日の事件に関わってしまいました。今でも夢に見ます。行けと言われて(被害者宅の)インターホンを押したこと。女性を縛った瞬間。地下室で目撃したこと。仲間が殴打行為をするのを見ながら、散々怒鳴られた恐怖と、(永田被告に)少しでも指図と取られかねないことを言えば殺されると思いました。暴行を止めないといけないと思ったのに私は立ち尽くすのみでした。自分が目撃する前に何をされていたかは分かりません。止められていても結果は変わらなかったかもしれません。暴行を止めたかったと思っています。苦痛や痛みを少しでも減らしたかったです。犯行現場を後にしたあとも、罪を重ねました。逮捕されて奪った命の重みを、悲しみの大きさ、苦しみを知れば知るほど全てを後悔し、絶望しました。その中で自分で罪を償わせて欲しいと思わせてくれたのは、取り調べをしてくれた警察官や弁護士の先生でした。それから遺族の方への手紙を書き始めました。償いになっていないかもしれないけど、手紙を書くことには意味があると思います。漠然としか受け止めていなかった命の尊さや、罪を重ねることの後悔を知ることで遺族に償いたいと思いました。手紙を書くことで自分の精神は成熟し、ここに立っていると思います。地下室で被害者を見た時、何もできませんでした。遺族に償えるかは分からないけど、自分が責任を持って被害者に償いを続けることをここに誓います。私が断罪される言葉を借りて、被害者、遺族に謝りたいです。大変申し訳ありませんでした。地下室での暴行を止められなかった自分を許さずに生きていきます。罪を償いきれずとも、償い続けることを誓います。遺族の心の傷がほんの少しでも癒えることを願っています」と、落ち着いた声で話していた。 裁判はこれで結審し、判決は、9月6日に言い渡される。 (石川テレビ)
石川テレビ