今じわじわとキテる「クワイエット・ラグジュアリー」とは何か?
さらに、男性のクワイエット・ラグジュアリーなスタイルは、隣に立つ女性を引き立てる効果も持つ。過度に自己主張しない控えめなスタイルは、パートナーとのバランスを取り、全体としてエレガントで洗練された印象を与える。自らが目立つためのファッションを志向するではなく、あくまでも相手を引きたてるような着こなしを良しとする心の余裕が、まさに格好良い大人という感じだ。
なぜ今、クワイエット・ラグジュアリーの注目度が高まっているのか?
2010年代後半、ストリートファッションの爆発的な人気により、ハイブランドや人気ストリートブランドのロゴを前面に押し出すいわゆるロゴドンのアイテムが急速に広まり、実生活やSNS上でステータスをアピールする恰好の道具となった。しかし、派手なロゴやデザインの刹那的な消費が続く中で、飽和感や食傷感が一部の消費者の間で広がり、より深い価値や持続可能な美学を求める動きがじわじわと広がってきた。 この変化は、単なるトレンドの反動にとどまらず、ファッションの価値観そのものが再評価されつつあることを示している可能性がある。2019年頃から、かつてはストリートノリのデザインを積極的に取り入れてきたハイブランドの間でも、シンプルでクラシックなデザインへのシフト傾向が見受けられている。これは揺り戻し的な一過性の動きではないと筆者は考えている。上質な素材と控えめなデザインを重視したクワイエット・ラグジュアリーは、成熟した消費者に昔から愛され常に一定の支持をキープしてきたのは言わずもがなであるが、今後はそのような消費者が増えることでその支持傾向がさらに強まるのではないかと考えている。クワイエット・ラグジュアリーが、今後のメンズファッションにおいてどんなポジションを占めるのか引き続き注目したい。
人気作の主人公男性は、男も女も魅了する!クワイエット・ラグジュアリーは、韓国ドラマや映画を見ながら楽しく学べる!?
映画やドラマに登場するキャラクターの中には、クワイエット・ラグジュアリーを体現する人物が多い。例えば、『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』のキム・シン(コン・ユ)は、ウールやカシミヤのコートにタートルネックを合わせ、控えめながらも上質なファッションを披露している。 また、『ヴィンチェンツォ』のヴィンチェンツォ・カサノ(ソン・ジュンギ)は、スーツスタイルだけでなく、カジュアルな場面で品の良いカシミアやウールのセーターを取り入れ、控えめながらも洗練されたファッションを見せている。『キム秘書はいったい、なぜ?』のイ・ヨンジュン(演:パク・ソジュン)も、役柄もあってスーツ姿が多いが、オフのシーンではシンプルで上質なセーターを着こなし、エレガンスを漂わせている。 『キングスマン』のハリー・ハート(コリン・ファース)はクラシックな英国紳士スタイルを体現し、タイムレスなエレガンスを感じさせる。また、『ゴッドファーザー』のマイケル・コーレオーネ(アル・パチーノ)や『007』のジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)も、派手さを避けながらも存在感のあるスタイルで、クワイエット・ラグジュアリーを表現している。日常生活においては、ジョージ・クルーニーやウィリアム王子も控えめでありながら上質なスタイルを貫き、公私ともにエレガンスを象徴する存在として知られる。
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