今年最後の「軽トラ市」ににぎわい 商店街の体力低下に課題も
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農家と消費者を結び、商店街の活性化にもつなげる狙いの「軽トラ市」。長野市篠ノ井のJR篠ノ井駅前通りで11月27日、今年最後の朝市があり、買い物客などでにぎわいました。「軽トラ市の日は人が集まる」と期待の声も。その一方で沿道にはシャッターを閉じた店も所々に見られ、商店街の集客力の増強策なども課題になっています。
毎月開くイベントとして地域に定着
篠ノ井駅前通りの「しののい軽トラ市」は、商店街や農家などでつくる「ながの軽トラ市 in 篠ノ井実行委員会」の主催で、今年で6年目。5月以降ほぼ毎月第4日曜日に開き、この日は今年6回目。毎回、一帯を歩行者天国にして午前中開き、農産物のほか個人の手芸品やケーキなどの出品もあります。 今回は約40店が出店。新米やダイコンなどの野菜が安く買えるため主婦や家族連れが軽トラごとに品定めし、沿道の商店も一部が店開き。実行委員会の三好敏雄委員長(篠ノ井商店会連合会会長)は、「やや寂しいときもある通りも軽トラ市のときはにぎわうのでいいですね」。
軽トラ市は、農家がいつも使っている軽トラックに農産物を積んでそのまま店開きできる手軽さが特徴。産地直送として買い物客に好印象を与えることもできます。全国でも各地で開催されています。 当初の狙いは、農産物などの生産者と商店街、消費者が共に朝市などを開くことで商店街や地域の活性化を図ろうとするものでした。三好委員長は「長野市には年に1回の大きな祭りや催事があるが、毎月開くというわけにはいかない。軽トラ市は毎月のように開く地域のイベントとして定着してきた」と評価します。
「車社会」に合わせた発想の転換も必要?
一方で、軽トラ市の会場となる商店街でも閉店した店が所々にあるなど、商店街の体力低下も否めません。軽トラ市の実行委員会事務局長、相澤啓一さん(長野県農文協事務局長)は、「軽トラ市は定着してきたが、今後は商店街の活性化に向けた戦略が大切になってくるのではないでしょうか」と言います。 篠ノ井商店会連合会会長でもある三好委員長も、「従来型の、歩道を広げて多くの人に歩いてもらうことを期待する街づくりでいいのか疑問。車社会でもあり、逆に歩道を削ってでも店の前に一時駐車のスペースを設けるような発想の転換が必要ではないか」と、街づくりの課題も指摘します。 生産者、商店、消費者の3者で成り立つ軽トラ市。中核となる商店街の悩みが深いだけに、今後の取り組みが注目されそうです。
----------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説