<センバツ2022・ともに咲く>広陵/下 「5040 21」励みの数字 成長見守るスコアボード /広島
「1082」「42」「5040」「21」。広陵の選手が汗を流す安佐南区のグラウンドのスコアボードに4日、掲げられていた四つの数字は「センバツ」「(開幕まで)42日」「甲子園」「日本一」を表す。 「練習でつらいときには意識的に見る」と川瀬虎太朗主将(2年)が話すように、ボードは励みだ。10年近く続くチームの伝統。「5040 21」は年中表示し、選手たちの成長を見守ってきた。 創部から110年を迎えた2021年、名門野球部はその歴史に新たな1ページを書き加えた。秋季中国地区大会を3年ぶりに制して出場した明治神宮野球大会(11月)で準優勝。神宮大会に高校の部ができた1973年以降、決勝に進んだのは県勢で初めてのことだった。 準決勝の花巻東(岩手)戦。1年生ながら4番に座る真鍋慧(けいた)選手が3点本塁打を放つなど打線がつながり、五回まで9―2とリードした。しかし、投手陣が踏ん張れずに失点を重ね、八回には強打で注目を集める相手の佐々木麟太郎選手(1年)に3点本塁打を浴び同点に追いつかれた。 守備から戻ってきた選手たちに、中井哲之監督(59)は「ここからだ。こういう時のために練習してきたんだろう」と活を入れると、チームに再びエンジンがかかった。八回2死一塁から川瀬主将が右中間へ三塁打を放ち、すぐさま勝ち越し。九回の守備は、2死一、二塁から左前打で本塁を突いた二塁走者を、左翼・小林隼翔選手(1年)の好返球で刺し、リードを守り切った。 初めて臨んだ決勝は、大阪桐蔭(大阪)に8点差を付けられた後猛追するも、7―11で敗れた。 県勢初の準優勝という快挙にも、選手たちは納得しなかった。川瀬主将が「この悔しさをバネに、日本一になれる練習をする」と誓えば、真鍋選手も「大阪桐蔭は打球の質が違った」「花巻東の佐々木は同じ1年なので絶対負けたくない」と闘志を燃やした。 この冬、選手たちは体を大きくするための筋力トレーニングに力を入れた。中井監督は神宮大会を経て「ここ一番で粘り強さを発揮するチームになった」と成長をたたえる。 全校応援の伝統がある広陵。中井監督は神宮大会からの凱旋(がいせん)時、拍手で出迎えた生徒たちに、こう呼びかけた。「コロナ禍が落ち着いたら、甲子園で一つになろう」 開幕日までの数字が一つずつ減るスコアボードを横目にバットを振り、白球を追いかけている選手たちが、学校、地域の応援を受けて花開く春は、もうそこまで来た。【根本佳奈】