「楓奈の練習場」残った 高校時代利用、内灘のパーク 一時閉鎖の危機 存続に「いいね」
東京五輪スケートボード女子銅メダリスト中山楓奈(ふうな)選手(19)=富山市出身=ゆかりの練習場として知られる「アカケンパーク」(石川県内灘町千鳥台5丁目)が移転することになった。入居する商業施設の用途変更に伴って退去を求められ、一時は閉鎖の危機に陥ったものの、存続を強く求める利用者の声が追い風となり、施設の運営事業者が代替策を模索。近隣に別の場所を用意してもらえることになった。地元スケーターは「大切な場所が残って良かった」と安堵(あんど)している。 【写真】パリ五輪スケートボード女子ストリート決勝で演技する中山楓奈選手 ●近隣に移転 アカケンパークは2019年11月、商業施設「コンフォモール内灘」内にオープンした屋内型スケートボード練習場。初心者から上級者まで楽しめる仕様となっており、中山選手は高校時代、週2、3回のペースで練習に通った。 21年の東京五輪後は中山選手の銅メダル効果もあって会員が急増し、若者を中心に幅広い世代が利用するようになった。しかし、中山選手も出場したパリ五輪が行われた今夏、コンフォモールの運営事業者がパーク代表の赤田賢治さん(50)のもとを訪れ、退去を求めた。 パークが入居する施設の北側エリアは小売業以外の用途に変更する計画があり、事業者側はそれに伴う措置として理解を求めた。しかし、スケートボード場は広いスペースに加えて騒音対策が必要で、適地を見つけるのは容易ではない。赤田さんの脳裏には閉鎖の2文字がよぎった。 しかし、しばらくして事業者から「施設中央エリアへ移転してほしい」との連絡が来た。パークに4300人超の利用会員がいることや会員からの評判が高いことを考慮してくれたという。 移転先の敷地面積は現在地の1・5倍で、11月1日に本格的な工事が始まる。このため、現在地での営業は今月いっぱいで終了し、来年に再オープンする見通しという。 赤田さんによると、パークの移転存続が決まったことをSNSで発信したところ、中山選手から「いいね」がついた。赤田さんは「利用してくれる人たちのおかげで移転でき、感謝している」と話した。 金沢市光が丘から通う岩本雅子さん(54)は「ここのフレンドリーな雰囲気が好き。練習を続けられるのはうれしい」と喜び、毎週日曜に訪れる同市木曳野小6年の川元柚(ゆず)さん(12)は「いつか中山選手のように滑りたい」と笑顔を見せた。 中山選手は富山新聞でコラム「楓奈のスケボーnote」を連載している。