「がんばろう輪島」小学校黒板に大阪の消防士がメッセージ 「子どもたちのことを思うと悔しく」
「みんながんばろう輪島」。能登半島地震で避難所となっている輪島市河原田小学校の黒板にメッセージが残され、被災者の心を温めている。チョークを握ったのは、同市内で救助活動にあたった大阪府緊急消防援助隊の隊員。被災地に寄せる思いを聞いた。 大阪の緊急消防援助隊は地震発生の1日に消防庁長官からの要請を受けて出動。2日から輪島市の倒壊ビルなどで救出活動にあたった。宿営地となったのが、河原田小だった。 黒板にメッセージを残したのは、隊員の一人である大阪市消防局の門馬功佳さん(37)だ。教室の黒板には、教員が児童のために書いたと思われる干支の「辰」の絵と新年のあいさつが記してあった。門馬さんは言う。 「始業式に子どもたちが目にしていたはずの黒板に書かれた先生からのメッセージを、くしくも我々大阪府大隊が先に目にすることになりました。新学期を楽しみに待っていた子どもたちのことを思うと悔しさや悲しさ、憤りなど何とも言い表すことのできない感情がこみ上げてきました。学校を使わせていただいた感謝の気持ちとあわせて、何か形にしたいと思いメッセージを書きました」 門馬さんは小学生のころに阪神・淡路大震災を経験した。レスキュー隊への憧れから消防士の道を選んだ。「少しでも被災地のために役立ちたい」と寒さ厳しい輪島で懸命の活動を続けた。 同小の全校児童18人は無事が確認されたが、いまだ授業再開の見通しは立っていない。教室では、避難した住民が寝起きしている。中宮章子さん(89)は黒板に残る力強い筆致を眺め「被災者への気持ちを感じて、うれしくなる」とほほ笑んだ。