秋の園遊会開催 愛子さまの「序列」は、秋篠宮ご夫妻と佳子さまの間が不動の位置なのか
天皇、皇后両陛下が主催する秋の園遊会が10月30日、東京・赤坂御苑で開かれた。9月に18歳の成年を迎えた秋篠宮家の長男、悠仁さまの出席はなかった。男女をめぐる世の中の価値観が大きく変化し、前日には国連の女性差別撤廃委員会が「皇室の皇位継承権の男女平等を保障すべき」との見解も示すなか、皇室行事において両陛下の長女、愛子さまの「立ち位置」は国民の関心事になっている。 【写真】秋の園遊会、愛子さまの振袖に見えた天皇家の「菊紋」はこちら! * * * 午後2時前、赤坂御苑の三笠山と呼ばれる芝生の丘の上に、天皇陛下と和服姿の皇后雅子さま、そして皇族方が姿を見せた。両陛下の長女、愛子さまは、春の園遊会に続いて2回目の出席。淡い紅色の振袖をお召しだった。 三笠山には、左側に天皇陛下と雅子さま、そして間をあけて秋篠宮さまと同妃の紀子さま、天皇家の長女である愛子さま、そして秋篠宮家の次女佳子さま、常陸宮妃の華子さま、寛仁親王妃の信子さま、長女の彬子さま、次女の瑶子さま、高円宮妃の久子さま、長女の承子さまという順に並んだ。 注目されたのは、愛子さまの立ち位置だ。 「天皇陛下と皇族方が一斉に集まる園遊会では、ご身位による『序列』が並び方から視覚化されます」 皇室制度や儀式に詳しい京都産業大の所功・名誉教授は、そう話す。 愛子さまは内廷皇族であり、天皇家の内親王とはいえ、現在の皇室典範に従えば皇位継承の資格はない。愛子さまが、皇嗣家の秋篠宮夫妻と佳子さまの間に立ったのは、ご身位通りではある。 ただ、園遊会の直前に、ある動きがあった。 ■前日に、国連が皇室の男女平等に言及 園遊会前日の10月29日、女性差別撤廃条約の実施状況を審査する国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)は、「男系男子」が皇位を継承することを定める皇室典範について、「改正をして男女の平等な皇位継承を保障すべき」とする最終見解を公表した。
悠仁さまの皇位継承順位は2位。仮に今回の園遊会に悠仁さまが出席していた場合、身位の通りであれば、秋篠宮ご夫妻に続く5番目に悠仁さま、6番目に愛子さま、そして佳子さまの順になり、その順番で招待者と懇談することになったと推測される。 悠仁さまと愛子さまの順序は、あくまで序列にならったものであり、そこに恣意性は一切ないが、女性差別撤廃委員会の意見を受けて何らかのハレーションが起きていたかもしれない。 今回は、悠仁さまの園遊会出席を高校卒業まで見送るとした宮内庁の判断が幸いした形になった。 ■「序列」ではなく、「家族単位」という考え 今回の園遊会は一見無事に終了した。しかし、悠仁さまが成年皇族として行事に参加する来春以降はどうなるか。 「悠仁さまが参加されたとき、愛子さまの立ち位置がどうなるのか。皇嗣の長男を先にするのか、それとも内廷の皇女を先にするのか、というところに世間が注目してしまうことになりかねません」 そう懸念する所さんは、新年や天皇誕生日の一般参賀のように、内廷(本家)と宮家(分家)がファミリー単位で並び、懇談に臨むことも検討されてもよいのでは、と考えている。 ファミリー単位という名分が立てば、悠仁さまと愛子さまを比較したり、無用の対立を煽ったりするような事態を回避しやすい。 「皇族の役割は、象徴天皇を支え、お互いに助け合う姿を一般の人びとに示すことが、本来あるべき姿だということです」 いま佳子さまが公務に奔走されているように、皇族は男女の区別なく、公務を分担し皇室を支えてゆくことが大切だと、所さんは指摘する。 成年皇族となった悠仁さまと愛子さまの存在は、ますます重みを増している。 (AERA dot.編集部・永井貴子)
永井貴子