藤沢の高校に災害用の水洗トイレ、生徒が着工 OBの建設会社員らが指導
神奈川県立藤沢工科高校(藤沢市今田)の3年生32人が、地元企業の協力を得ながら同校プール横に「災害用水洗トイレ」の基礎施工に取り組んでいる。 同校で7月に出前授業を行った井戸掘り会社「井戸屋」(茅ケ崎市)の綾久社長(77)が「実際の施工を体験してみないか」と提案し、実現した。設備工事などを学んでいる総合技術科住環境系の生徒は、11月8日から授業の一環として工事を開始。同校卒業生で建設会社「三和工業」(藤沢市)に勤める長山友樹さん(32)の指導の下、資材の運搬からトイレの基礎を作るための型枠製作などに汗をかいている。週2回作業を行い、今月中にも完成する予定という。 綾社長は、東日本大震災で被災した宮城県石巻市の復興支援に携わった。その際、トイレ不足に悩む住民を目の当たりにし、「災害に備え、簡単に組み立てて設置でき、衛生面にも優れたトイレが必要だ」と災害用水洗トイレを開発した。 あらかじめ貯留槽や下水管に直結する基礎部分を設けておけば、テントでプライバシーを守ることができる水洗式の陶器製トイレを、専用ユニットを使って10分程度で設置できるという。今回の工事で同校には3カ所の基礎部分が設置される。 冨田勝之(かつし)さん(17)は「図面通りに作業するのが難しかった」と振り返り、竹腰柊呂(ひいろ)さん(18)は「地下にある管路のイメージが広がり、就職先でもこの経験が役に立つと思う」と話していた。
神奈川新聞社