アメリカ競馬最高峰の一戦、ケンタッキーダービーでフォーエバーヤングの偉業達成なるか!?
実際、現地の参考オッスでフォーエバーヤングは4番人気。同馬より高い評価を受ける面々を含めて、強力なライバルがズラリとそろう。 そのうち、1番人気に推されているのはフィアースネス(牡3歳)。戦績は5戦3勝と際立ったものではないが、昨秋のGIBCジュベナイル(サンタアニタパーク・ダート1700m)で、後続に6馬身4分の1差をつけて圧勝。前走のGIフロリダダービー(ガルフストリームパーク・ダート1800m)でも、2着に13馬身半もの差をつけてぶっちぎりの勝利を飾っている。 ただ一方で、負けるときは意外とあっさりしたもので、強さと脆さの振り幅が大きい馬。フォーエバーヤングにも付け入る隙はありそうだが、同馬を管理するトッド・プレッチャー調教師は戴冠への自信をうかがわせる。 「負けたレースは、いずれもスタート直後に不利を受けたもの。特に2歳時のGIシャンペンS(アケダクト・ダート1600m)でのブービー負けは、最後はもう流していたので、度外視していいレース。そして、今回は16番枠。インの様子を見ながら先行できるのは悪くない」 このフィアースネスと人気を分け合っているのが、今年に入って2連勝中の2番人気シエラレオーネ(牡3歳)。通算戦績は4戦3勝、2着1回。前走では今回と同じケンタッキー州のGIブルーグラスS(キーンランド・ダート1800m)で、鋭い末脚を繰り出して快勝した。 同馬を管理するチャド・ブラウン調教師は、日本からの参戦馬を警戒しつつ、レースへ向けての抱負をこう語った。 「負けたレースは集中力を欠いていました。今年からブリンカーを使ったら、効果が出ています。今回も楽しみ。 とはいえ、3年前のBCでは、日本の馬に2度も勝ちを阻まれました。あれ以来、日本の馬の強さは身に染みてわかっています」 そして、最後にピックアップしたいのは、プレッチャー調教師とブラウン調教師が「追い切りの動きがすばらしい」と口をそろえた不気味な存在だ。日本から挑戦するもう1頭の、テーオーパスワード(牡3歳)である。 戦績は2戦2勝。今回は、目下3年連続でカナダのリーディングジョッキーに輝いている木村和士騎手が手綱をとる。 「4月29日からこちらに入って、調教に跨らせてもらっています。初日は、横っ飛びしたり、キョロキョロしたりと落ちつかない様子でしたが、30日の追い切りでは集中した走りで、好タイムも出て、すばらしい動きでした。これは『ひょっとしたら......』と思っています」(木村騎手) はたして、歴史的な偉業は成し遂げられるのか。近年の日本調教馬のダート界での活躍を鑑みれば、フォーエバーヤングにしろ、テーオーパスワードにしろ、大仕事をやってのけても不思議ではない。
土屋真光●取材・文 text&photo by Tsuchiya Masamitsu