内田也哉子さん、「無言館」共同館主に就任「大きすぎる役割」…長野・上田市の戦没画学生慰霊美術館
エッセイストの内田也哉子さんが14日、東京・立命館東京キャンパスで「無言館共同館主」就任記者発表会に出席した。 長野・上田市にある「無言館」は、1997年に私設美術館として開館。日中戦争、太平洋戦争で戦死した美術学校の画学生らの作品・遺品などを収蔵・展示している。 内田さんは、今月1日付で「無言館」の共同館主に就任し「正直、自分には大きすぎる役割だとたじろいでいます」とあいさつした。 母・樹木希林さん(18年死去、享年75)が生前に同館と親交を持っていたことなどを縁に、内田さんも2019年に初訪問。以降、同所の成人式などイベント出演や交流を深めてきた。「早くに結婚し家庭を耕すことと文筆活動を続け、あっという間に人生の折り返しに来てしまいました。遅ればせながら、自分自身が社会をどう捉えるか、人生の第一歩だと思っております」と背筋を伸ばし、「世界的にみても宝物のような存在の『無言館』が信濃の里山の頂に存在していることは、現代を生きる人間としても希望を感じております」と話した。 同館では今後、内田さんによる学生向け講演会なども予定されており「(館主の)窪島(誠一郎)さんや、世代を超えて立命館大学の学生の皆さんと語らいを深めたい。アートを通して平和とはどうあるべきか、堅苦しくなりすぎずに皆様と学びや対話を重ねていきたいと思います」と語った。 館主の窪島氏は「也哉子さんには、樹木希林さんと母娘2代にわたっての『無言館』への理解、絆を深めてくださった上での共同館主就任を英断くださったことに心から感謝をしている次第です。あの戦時下で絵を描き続けた学生たちのひたむきさ、彼らの600点の絵はどんなことがあっても残したい」と力を込めた。
報知新聞社