南海トラフ巨大地震「特段の変化は観測されず」8月の臨時情報は理解度に課題
南海トラフ巨大地震発生の可能性を評価する定例の検討会は、「特段の変化は観測されていない」とする見解をまとめました。一方、ことし8月に初めて発表された臨時情報については、「意図が思ったように理解されていない」など課題をあげています。 今後30年以内の発生確率が70%から80%とされる南海トラフ巨大地震について、気象庁は専門家による定例の評価検討会を開き、想定される震源域などでおきた地震や地殻変動について分析をおこないました。 先月1日から今月6日までの期間に、想定震源域とその周辺では目立った地震活動はなく、最も規模の大きな地震は、和歌山県北部でおきた最大震度3の地震でした。また、南海トラフのプレートの沈み込みに伴って長期的に地盤が沈んでいる静岡県御前崎などでは、大きな変化はみられないということです。 こうしたことから、検討会は南海トラフ周辺で「大規模地震の発生の確率が相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない」とする見解をまとめました。 一方、8月に初めて出された「南海トラフ地震臨時情報」について、評価検討会の会長で東京大学の平田直名誉教授は「仕組みが思ったように理解されていなかった」などと話しました。臨時情報は、巨大地震がおこる確率が平常時と比べて相対的に高まっているとして、地震への備えを見直すよう呼びかけるものですが、東京大学の調査では、大きな揺れが想定される地域でこの情報を知った人はおよそ8割にのぼりましたが、そのうち2割の人は何も行動をとらなかったということです。 平田会長は、南海トラフ沿いはいつ巨大地震がおきても不思議はないとしたうえで、「地震が来ると思ったということは、それに備える必要があるということをセットで考えるようにしなければならない」と呼びかけました。