【米中覇権争い】アメリカの「戦略的要衝」カリブ海でも高まる中国の影響力、「キューバ危機」の再来も!?
狙いは台湾のさらなる孤立を図ること
中国がこの地域での存在感を強化する主な理由は、台湾のさらなる孤立を図ることだろう。 台湾独立を承認している12カ国のうち7カ国はカリブ海地域とラテンアメリカ地域にある。それぞれが国連での投票権を持ち、中国としては何としても自国の陣営にくら替えさせたいところだ。 近隣国の外交官によると、在アンティグア・バーブーダ中国大使館の職員は頻繁に、台湾を承認しているカリブ海諸国の高官と接触しているらしい。 中国がアンティグアで堂々と活動しているのに比べ、アメリカは1994年に大使館を閉鎖し、飛行機で1時間以上離れたバルバドスに移転した。アンティグアには週3日だけ開く領事代理事務所しかない。 米国務省は本誌の問い合わせに、カリブ海地域での外交拠点を拡大する計画だと電子メールで回答してきたが、詳細は明かさなかった。 ブラウンらが北京で署名した協定には、両国間のビザなし渡航や、ビジネス面の協力関係の拡大が含まれており、アンティグアをカリブ海における中国海運のハブとする計画も含まれている。 さらに、両国メディアの協力関係を深めること、アンティグア・バーブーダと中国で、統治と経済発展に関する習近平思想を学ぶ合同セミナーの開催も盛り込まれていた。 ブラウンによれば、習思想の学習は義務ではないが、ジョー・バイデン米大統領の考え方を理解するのと同様に意味がある。「アンティグア・バーブーダ政府がどこかの国のイデオロギーに取り込まれることはない。わが国には自前の統治システムがあり、それを実行している」 「誰の属国にもならない」とブラウンは断言しつつ、こうも語った。「中国は他の大国に比べて、わが国のように小さな国にも十分な敬意を払ってくれている。われわれを厄介者扱いする国もあるが、中国とは互いにリスペクトする関係だ」