「宇宙人みたいな声」あだ名は『枯れ葉』 発声障害を乗り越えた女性声楽家 苦悩と挫折…歩み続けた音楽の道
生まれつき喉に障害があり、思うように会話もできなかった――。「宇宙人みたいな声だな」、あだ名は『枯れ葉』。かつていじめにもあっていた。様々な苦難を乗り越え、今では“倍音”を自在に操る歌手として目覚めた女性がいる。柏田ほづみさん(48)。2012年にイタリアの国際オペラコンクールで優勝するなどし、現在はクラシックの声楽家としてソロ活動を続けている。異色の経歴で“今”にたどり着いた柏田さんの人生に迫る。 【写真を見る】「宇宙人みたいな声」あだ名は『枯れ葉』 発生障害を乗り越えた女性声楽家 苦悩と挫折…歩み続けた音楽の道
自分の声が嫌いだった…
岩手出身の柏田さんはソプラノ歌手として東京を拠点に活動してきたが、3年前のコロナ禍の中、温泉地として知られる大分県日田市にある天瀬町に移住した。 「新型コロナの感染拡大でライブ活動ができなくなり、自然に触れたくなったんです。知人の紹介で天瀬町を知り、初めて来た時にとても感動しました。もともと田舎育ちなのでピタッとハマりましたね」 現在は『ホォーミィ』という名で音楽イベントやライブなど活動を再開。都会を離れ、田舎でのんびりとした生活を過ごしているが、彼女はこれまで様々な苦難を乗り越えてきた。
岩手県久慈市に生誕した柏田さんは、生まれつき喉に障害があった。左右の声帯が不全で会話がうまくできず、子どもの頃、過酷ないじめにもあったと明かす。 「がんばって声を出そうとするんですが、『バイバイしか聞こえない』ってよく言われました。いじめも受けていて、『気持ち悪い声』『宇宙人みたいな声だな』とか。あだ名は『枯れ葉』でした。また授業参観の際、一人読みの朗読で声を出すことができず、恥ずかしくて悔しくて…。もっといじめられると思い、ポロポロ泣いていました。本当に自分の声が嫌いでした」 中学校に進むと、部活動紹介の時に見学したフルートの音色に興味を持ち、吹奏楽部に入部した。 「吹奏楽部にいじめっ子がいなかったのも理由の一つでした。ただ極度のあがり症で、一人でいる時はうまく吹けるのに本番では失敗することもたびたびありました」