好条件の仕事を辞めてAmazonを起業…ジェフ・ベゾスの決断を後押ししたものとは?
ジェフ・ベゾス氏は世界最大のオンライン小売ビジネスとなる会社を立ち上げる前、某新興ヘッジファンドで副社長を務めていました。 そこでの働きぶりは実にすばらしかったのですが、彼はスタートアップを立ち上げる夢を捨てきることができませんでした。インターネットという成長著しい媒体を利用し、本をオンライン販売することを思いついたのです。 そこでベゾス氏は上司にこの考えを伝え、退社を申し出たところ、上司は彼を散歩に誘い、結局2人はセントラル・バークを2時間歩くことになったのです。 「それは確かにすばらしいアイディアかもしれない」上司はそう言うと(数年前のベゾス氏へのインタビューより)、「でも、君のようないい仕事に就いていない人にとっては、もっといいアイデアじゃないかな」 と付け加え、48時間考えてから最終決定するようベゾス氏を説得しました。 ベゾス氏は自分の考えを導き、それが優れた判断であることを確かめるため、構想のフレームワークを必死になって模索しました。そして自身が「後悔を最小限におさえるフレームワーク」と呼ぶものに行き着いたのです。 このフレームワークは、感情を理解・制御する能力である「感情的知性」をもとに判断を下す際に有効です。ここではそれを黄金の質問と呼びましょう。 黄金の質問とは何か? ベゾス氏が最終決定する際、それはどのように役立ったか? そして、それは私たちが人生の一大決心をする際にどのように役立つか? この黄金の質問を紐解いてみましょう。
「黄金の質問」はどのように役立つか
きわめて安定して報酬も申し分ない今の仕事を辞め、突拍子もない夢を追い求める。 その是非を判断するに当たり、ベゾス氏は80歳になった自分を思い浮かべ、「後悔の最小化」という目標を頭に自らの人生を振り返りました。 「80歳になった時、挑戦したことを後悔しない確信が私にはあった」ベゾス氏はそう言っています。 インターネットはものすごいことになると思っていたし、この媒体に参入したことを後悔するつもりもなかった。仮に失敗したとしても後悔はしない。 でも、もし挑戦しなかったら、それこそ後悔し、その思いに日々とらわれることになるかもしれない。そう考えると、決断はとても簡単だった。 感情を制御し、雑音を遮り、難しい判断を下そうとする時、この「後悔を最小限におさえるフレームワーク」は有効です。 黄金の質問では、このフレームワークにもとづき、5問1組の質問によってベゾス氏と同じことができるようになっています。その仕組みはこうです。大きな決断を前に自身の感情を操作する際、自らに問います。 ・1日後 ・1週間後 ・1カ月後 ・1年後 ・5年、15年あるいは20年後 上記のタイミングで振り返った時、その決断を自分はどう思うだろうか。 私たちの脳は理性的思考と感情的思考の双方をつかさどっています。その仕組みを考えると、この質問は有効です。 計画立案や体系化といった高度な作業は一般的に前頭葉で行なわれます。一方、安定した仕事と直近のボーナスを放棄したことが正しかったかどうかをベゾス氏が後から振り返った時のように、心配事が生じると、へんとう体という脳の別の部分が活性化し、闘争・逃走またはフリーズ状態になることがしばしばあります。 黄金の質問を自問すれば、脳全体が使われることになり、理性的思考と感情のバランスが保たれます。これにより、今後数年で事態がどのように展開するかを慎重かつ注意深く想像し、感情を抑えることで均衡を保つことが可能となるのです。 後悔とは誰も経験したくない強い感覚ですが、黄金の質問により、こうした後悔を少なくし、後ろを振り向くことなく前に進めるようになります。 今後、困難な決定をする必要に迫られた時は黄金の質問を思い出してください。 なぜなら、感情的で知的な判断を下す際に重要なことは、均衡からの感情の排除ではなく、感情と理性のバランスを保つ方法を見出すことにあるからです。 Source:YouTube, EQ applied Originally published by Inc. [原文] Copyright © 2022 Mansueto Ventures LLC.
木村彰志/OCiETe