「私、優柔不断なので…」竹田麗央の強さを生む流儀
◇国内女子メジャー◇日本女子オープンゴルフ選手権 最終日(29日)◇大利根CC 西コース(茨城)◇6845yd(パー72)◇曇り(観衆7154人) 【画像】「美しい1枚」青木瀬令奈 竹田麗央が強い。3週前の「ソニー日本女子プロ選手権」に続いて「日本女子オープン」を制し、7度達成の樋口久子と2019年の畑岡奈紗に続いて史上3人目の同一年での日本タイトル2冠。シーズン7勝以上は史上5人目(6例目)だが、初優勝から到達した例は過去にない。 日本女子プロ、日本女子オープンで予選同組に入るなど、今季スポット参戦した日本で竹田のプレーを目にした古江彩佳は「飛ばすのに、安定性も高い。フェーダーなのに、左ピンとかでも結構思い切って狙っていく。いまは本当に自信を持ってできているんだろうなと思います」とうなった。飛んで曲がらない1Wを含め、ショット力はメジャーチャンピオンも目を見張るところ。ただ、それだけではない。
今大会のバッグを担いだ宮崎晃一キャディは、サンデーバックナインで見せた2つのアプローチを象徴的な場面として挙げる。 ひとつ目は12番(パー3)。本人が優勝会見で「(ギャラリーの)音が気になったんですけど、そのまま打ってミスショットになった」と振り返ったティショットは大きく右に出て木に当たり、ラフに落ちた。バンカー越えの難しい状況から必死のロブショットで切り抜けると、13番(パー5)もグリーン右手前のラフからの3打目となった。ボールがあったエリアは選手の動線上に当たり、「みんなが歩いた後で逆目になっていました」(宮崎氏)。12番よりも厳しいライから再び58度のウェッジでフェースを開き、緩まずに浮かせてバーディにつなげた。 どちらのシーンも、竹田はグリーン上の落としどころやカップ周辺のラインを確認すると、宮崎キャディと言葉を交わすことなく速やかにプレーに移っている。ティショットやセカンドの番手、風の状況について相談する姿とは対照的。宮崎氏も「グリーン上とグリーン周りは全部(竹田が)自分自身でジャッジしていますね」と話す。 竹田自身は「私は結構、優柔不断なので、人の意見が入ると迷ったりしてしまう。それを避けるために自分の直感でやっています」と笑う。タフなシチュエーションでの思い切りの良さは、そんなポリシーを貫くことによって生まれる。宮崎氏は「自分でやっている分、吸収力というか、(重要な局面で)考える力もどんどんついていっているんではないでしょうか」とも話し、初優勝から一気にブレークした21歳の急成長の要因を推測。実際に昨季部門別55位(61.2319%)だったリカバリー率も、今季は8位(69.3333%)。劇的に向上している。 シーズン最多勝利数は2003年に不動裕理がマークした10勝。日本ツアーの目下最強プレーヤーが、残りは8試合でどこまで迫れるか期待が膨らむ。(茨城県坂東市/亀山泰宏)