<コンパクトシティー>「居住者を取り戻す」高松の商店街は再生モデルになる?
行政の出資は「5%」民間が主導
「高松丸亀町商店街」は全長470メートル。約400年前から城下町の商人の街として栄え、昭和40年代後半には約1000人の住民がいたといいます。 しかし、バブル経済による地価高騰や瀬戸大橋の開通(1988年)以降の郊外化の影響を受け、生鮮食品や生活雑貨を扱う店舗も撤退していったこともあり、平成に入って地元住民は75人にまで落ち込み、商店街の通行量も減少しました。このため、1998年度に街づくりのための第三セクターを設立。居住者を取り戻すことを主題に商店街の上層部をマンションにするなどの思い切った施策 をとり、これまでに約200戸を誘致、約500人の住民を呼び戻しました。商店街組合では最終的に400戸の設置を目指しています。 再開発には「高松三越」も全面協力したほか7つの街区に区切って各区に役割を持たせ、 A街区は「高級ブティック街」として高級ブランド店誘致などを図り、商業施設を充実。B、C街区は「美・健・ファッション街」などするなど各街区が特徴を持っています。また、診療所などの医療モールや市民広場の設置など住みやすさを意識した街づくりをすすめました。 「市街地に住んでいる人間にとって自分たちの近い将来や老後のことを考えることは自然。ハッピーな老後を考えたとき、歩いて暮らせる町、かかりつけ医がいる町がでてきた。今後は介護施設の充実が必要」(古川理事長)といいます。同商店街の再開発を進める第三セクターのまちづくり会社は行政の出資は約5%にとどまり、地元地権者など民間が主導しており、従来の行政が主導で商業施設などを誘致するスタイルと異なっています。
「歩いて暮らせる町」安心な老後
大和総研の鈴木文彦コンサルティング・ソリューション第三部・副部長は「旧市街は宿場町や城下町が由来のため、実は住宅地として適しており、特に徒歩で暮らす高齢者に合っている。丸亀町商店街の成功は医療モールの設置など居住者のニーズを意識したことがあった。コンパクトシティーは医療のほか、飲食施設、図書館など文化施設など高機能であるべきで、それでなければただのスモールシティだ」と指摘。「青森も厳しい状況ではあるが、中心部のマンションに移住すれば雪かきをしなくていいといった高齢者に優しい町として再生することは期待できる。動く歩道などを設置して徒歩を補完することも一案ではないか。一方で、車社会の後戻りも考えにくい。郊外に住む生活も尊重すべきで、ライフスタイルの選択肢を充実させることが大事」と話しています。