楢崎智亜、スポーツクライミングのトップ選手同士が支え合って迎えるパリ五輪「子供が記憶に残る時に強くいたい」
パリ五輪開幕まで26日であと3か月。スポーツクライミング男子でパリ五輪代表の楢崎智亜(27)は、同女子で、東京五輪銅メダリストの野口啓代さん(34)と前回五輪後に結婚。4位となった東京五輪から妻のサポートを受けてパリで“クライミング界”の夫婦メダリストに挑む。 クライミング界トップ選手として、長く支え合ってきた智亜&啓代夫婦。東京五輪前と変わったことを聞かれた智亜は「啓代が引退したことがすごく大きい」と即答した。 「これまで朝から一緒にトレーニングして仕事も一緒なことが多かった」。それでも、啓代の手厚いサポートは変わらない。「『このトレーナーの方にこれをお願いしよう』とか一緒に考えてもらうので、すごく心強い。啓代から来る意見の質も変わりました。少し離れて見ているので的確で前より深い感じがします」と充実の表情だった。 父になったことも変化の一つ。「正直、子供をかわいがってる姿とかは、あんまり人に見せたくない」と笑うほどのデレデレぶりで「責任の面が大きくなりました。その分、力がプラスされている感じがあります」と娘の笑顔を力に励んでいる。目標は「子供が記憶に残る時に、まだ強くいたい。格好良くいたい」。メダルを狙うパリ五輪へ「覚えているかは怪しいですが、本当に格好いい姿を見せたいです」と誓った。 21年東京五輪では、新種目として注目を浴びたスポーツクライミング。19年世界選手権を制し金メダル最有力だった楢崎は、スピード2位、ボルダリング3位、苦手なリードは6位と伸びず。3種目の順位のかけ算は合計36点で3位と1点差の4位だった。楢崎はスピードの1回戦で6秒11、6秒02と全体の1、2番目のタイムを出しながら決勝で敗れて2位。ここで1位となっていれば、1位×3位×6位=18で金メダルも夢ではなかった。世界王者がまさかのメダルなしとなり、「プレッシャーはあるのはあった。いつも通りのパフォーマンスを出すのが難しかった。めちゃくちゃ悔しい」と話していた。 ◆楢崎 智亜(ならさき・ともあ)1996年6月22日、栃木県生まれ。27歳。小学5年で競技を始める。W杯は2012年から出場。ボルダリングでは16年にW杯総合優勝と世界選手権制覇の2冠。19年世界選手権の複合で優勝し21年東京五輪に内定。本戦では4位入賞。23年8月の世界選手権で3位に入り、今夏のパリ五輪に内定。170センチ、60キロ。
報知新聞社