伝統野菜使ったビール仕込み キャンプシーズンの販売目指す 清内路かぼちゃ【長野県】
長野県阿智村清内路の伝統野菜「清内路かぼちゃ」を使ったクラフトビールの商品化に向け20日、仕込み作業が下條村の醸造所で始まった。約600リットルを造り、330ミリリットルの瓶で販売を予定。キャンプシーズンに突入する7月の連休前の販売開始を目指している。 キャンプで村を訪れる観光客を主なターゲットに販売して伝統野菜のPRにつなげようと、阿智村集落支援員の原司さん(33)が商品化を企画。醸造・販売にかかる経費50万円をクラウドファンディング(CF)で集め、シードルやビールの製造を手掛ける「道」(下條村睦沢)に醸造を委託した。 クラフトビールには、フリーズドライした清内路かぼちゃ5キロを使用。青臭いにおいを抑えるためにカボチャの量を当初の予定より減らした。アルコール度数は5・5~6%ほどにし、カボチャの甘みを生かした「キャンプで飲みやすいビール」に仕上げる。 20日は原さんやCF出資者、カボチャを提供した清内路伝統野菜保存会の櫻井道治会長が醸造所で作業を見学。細かくしたカボチャと麦を煮るタンクをのぞいたり、発酵させる前の麦汁を味わって完成品を想像した。 原さんは「青臭さもなく、飲みやすいビールになってほしい」と期待。同社の古田健詞さん(37)は「カボチャがどうなるか未知数なところもあり、私たちも楽しみ」と話した。 櫻井会長は、野生鳥獣の食害などにより清内路かぼちゃの生産者が減少している現状に触れ、「クラフトビールが活性化につながればいいが、継続していくためには課題もある」と語った。 クラフトビールは約1カ月で完成する見込み。地区内のキャンプ場や商店で販売し、出資者を招いた試飲会も開催する。