森に包まれた神社でコスプレを ロケ地はまるで異世界、ファンニーズつかむ 丹波篠山
豊かな自然や趣深い神社などの地域資源を、コスプレ撮影のロケ地として発信しようという取り組みが丹波篠山市大山地区で始まった。過疎、高齢化が進む地域の新たな活性化策として丹波市の男性が事業化。収益は空き家改修などに使って地域内で還元、循環させる。非日常的な環境で撮りたいという愛好家らのニーズともマッチし、8月から12月末までで利用者は200人に迫りそうな勢いだ。(秋山亮太) 【写真】木々の息づかいが聞こえそうな神社境内 ■利用者「本物の環境、幅広い作品に合う」 今秋から同地区で本格始動した「森のフォトスタジオ丹波」。土田翔大さん(30)=丹波市柏原町南多田=による事業で、地元の協力を得て同地区内にある神社境内や周辺の森をコスプレ撮影用に特別に活用している。撮影日は主に金-月曜日。複数グループによる「シェア撮影」と、貸し切り利用を受け付けている。 神社は森に包まれるようなロケーションで、歴史を感じる社殿やこけむした石段が織りなす景色はまるで異世界に訪れたよう。森に続く道を進めば草木が生い茂る光景の中で撮影も可能。更衣室や駐車場なども地元の施設を借りて整えている。 阪神地域から訪れたほむさん(22)は「スタジオ以外での撮影は初めて。屋外は許可取りが難しいと聞くので、受け入れ環境が整った場はすごくうれしい」。友人で滋賀県から来たカメラ担当のなうるさん(22)は「造られた場所じゃなくて本物というのが良い。和風からファンタジーまで幅広い作品に合うと思う」と話した。 ◇ 「新たに手を加えなくても、ニーズを探って求める人に届けられれば地域が持つ魅力・価値は最大限に生きる」。事業に込める思いを土田さんは説明する。 勤め先で自社や地域の資源活用を目指す新規事業を担当。里山の活性化に貢献したいと感じる中、同地区で山の整備などに取り組む「大山振興会」とつながり、地元の神社や自然と出合った。 地域が過疎や高齢化に直面していることを知り、自然などの財産を生かし地域活性化につなげるアイデアを模索。「コスプレ撮影なら、歴史を重ね自然に満ちた現状の環境が魅力となる」と思いついた。 同振興会に相談するとすぐに宮司や氏子らとつなげてもらえ、活用を承認してもらえた。「振興会が長年の活動で地域と強いネットワークを築いてくれていたからこそ実現できた」と土田さんは話す。 8月に交流サイト(SNS)で周知すると瞬く間に好反応が広がった。収益はコミュニティー施設などの使用料を除いて地域活性化に投じる。目下は古民家に撮影スタジオを開くための改修費に充てる予定。インバウンド(訪日客)を誘致してコスプレや和装体験の提供も検討している。 「同様の環境があり、活性化に取り組む主体がいれば他地域でも取り組める」という土田さん。「大山モデル」として全国に発信したいと夢を描いている。 料金、利用予約は公式サイトから。