70%を長野県内で消費、「ビタミンちくわ」題材の教材製作へ 製造業者のスギヨ、来年1月に公開予定
水産加工品製造販売のスギヨ(石川県七尾市)が、大町市の小学校で行う出張授業を基に、同社が製造する「ビタミンちくわ」を題材にした食育教材を長野県向けに作る。ビタミンちくわは70%が長野県で消費されている。当たり前のように食べているビタミンちくわが地域の食文化であることを知ってもらおうと企画。食育教材は来年1月ごろ公開の見込みだ。 【写真】「ビタミンちくわ」を挟んだたい焼
同社は2021年に偶然、黒部ダム建設工事の作業員宿舎でビタミンちくわ入りカレーが食べられていたことを知った。カレーの具にちくわを使うことに驚き、長野県では現在もさまざまな料理に使われていると分かったという。
ビタミンちくわ販売70周年の昨年、「石川県で作っているのになぜ長野県でたくさん食べられているのか」を探る形式の出張授業を大町市の3小学校で実施。今年も3校で予定し、10月31日は大町西小で行った。
ビタミンちくわは戦後の1952(昭和27)年、ビタミン豊富なサメの肝油を入れて作ったのが始まり。当時は日持ちするよう、ちくわの穴に塩を詰めて輸送。出張授業では、魚肉タンパクと塩のセットが海のない長野県でよく売れた歴史を学んだ。
石川県の工場と映像をつないで製造工程を見学し、児童が質問。黒部ダム関係者の証言を収録した動画を見て、現在の家庭での食べ方を出し合い、未来のメニューを考えた。
食育教材はビタミンちくわの歴史、製造工程の動画、黒部ダム関係者の証言動画などを同社ホームページの特設サイトにまとめて公開する予定。教員用のテキストを別に用意し、授業を行う学校に提供する。
出張授業の講師で同社広報担当の水越優美さん(38)は「長野県各地で出張授業をしたいが人手が足りない。教材を使ってビタミンちくわと長野県の関わりを知り、独特の食文化を大切にしてほしい」と話した。