見え始めたレッドブルの「落日」 王者フェルスタッペンは7戦勝ちなし 不調の原因は?
レッドブルレーシングが今季のF1世界選手権のコンストラクターズタイトルで初めて首位から転落した。 【動画】ピアストリが1コーナーで攻めた!鮮烈なオーバーテイクでルクレールを捉えたシーン 第17戦アゼルバイジャンGPでエースのマックス・フェルスタッペンはマシンのセットアップに失敗し、5位が精一杯。これで7戦連続で優勝を逃した。チームメートのセルジオ・ペレスも3位争いをしていたが、終盤に他車として接触してクラッシュした。 一方、タイトル争いで猛追するマクラーレン勢はオスカー・ピアストリが今季2勝目を挙げ、チームメートのランド・ノリスも4位。レッドブルに8点差をつけられていたが、逆に20点のリードを築いてコンストラクターズ争いで首位に浮上した。2014年の開幕戦オーストラリアGP以来、実に10年ぶりだ。 フェルスタッペンも昨季は22軍中19勝と桁違いの強さをみせつけ、ドライバーズタイトルで3連覇に輝いた。今季も第10戦スペインGPまでは7勝を挙げ、チャンピオンシップで独走を築いていたが、チームの地元オーストリアGPで5位と惨敗してから流れが変わった。そのGPから勝てなくなり、圧倒的だったスピードにも陰りが見え始め、予選でもポールポジションを奪えなくなった。 英放送局スカイスポーツによると、元F1王者のジャック・ビルヌーブ氏はフェルスタッペンの無気力ぶりを懸念している。「ここ数戦のマックスは調子が悪そうだ。レースでも覇気がなく、それほどハードに戦っていない。無線でも彼の声がほとんど聞かれない。何かが変わった」と指摘した。 コーナリングでリアが跳ねる症状に悩まされ、オーバーステアの症状も酷かったという。予選前にマシンのセットアップを変えたことでさらに乗りにくくなったとみられるが、根本は夏休み前のオランダGPで投入した空力パッケージのアップデートが空回りし、本来の戦闘能力を出せなくなったのが大きいようだ。 フェルスタッペンも2022年3月にチームと長期契約を交わしたことを今ごろになって後悔しているとの噂も上がっている。契約延長は28年末まで。新レギュレーションとなる26年はパワーユニット(PU)もフォードの協力を得てレッドブルでチームで独自社開発した仕様を搭載することになっており、性能は未知数だ。 車体開発でも長年にわたって技術系のトップだった天才空力デザイナーのエイドリアン・ニューウェイ氏もチーム離脱を表明し、25年からホンダ製のPUを搭載するアストンマーティンへ移籍する予定だ。チームは黄金時代から一転して瓦解の危機に直面しているともいえる。 今季も残り7戦。ドライバーズタイトルでフェルスタッペンがポイントリーダーの座を死守しているものの、2位のノリスとは59点差に詰められた。このまま劣勢が続けば、シーズン最終盤で逆転される恐れはある。レッドブルの落日ぶりは覆い隠せない事実となっている。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]