年下捕手が謝罪「すみません」 伝説のプレー誕生も…気づかなかった“ことの重大さ”
34年前の超絶珍プレー…「今となってはうれしいですけど」
テレビでも珍プレーとして取り上げられた。「(オフには)テレビ局からも呼ばれましたね。僕は別によかったんですけど、中嶋は『もうやめてくださいよ』って嫌がっていましたね」。その後も中嶋の返球が星野氏の球よりも速かったとか、いろんな話が付け加わり“伝説の素手キャッチ”として語り継がれている。星野氏の代表的なエピソードになっているほどだ 2022年6月2日のDeNA対オリックスの交流戦(横浜)では、ベイスターズ1軍コーチvsレジェンドOBの企画で星野氏がDeNA・鈴木尚典打撃コーチと1打席対決。その際も1球目のスローカーブを捕手が素手で捕りにいった。伝説シーンの再現を狙ったわけだが、残念ながら捕手が捕れずじまい。「自分ではけっこう上の方に投げたつもりだったんです。その辺が捕りやすいから。でも、ちょっと低く行っちゃって、あれは(捕るのが)難しかったですね」と苦笑いだ。 「去年も(プロ野球の)昭和40年会と昭和48年会がミックスになって芸能人チームと対決する企画で、(素手キャッチを)やったんですよ。EXILEのMAKIDAI君がバッターでキャッチャーは古田(敦也)。1球目真っ直ぐで行って、2球目のカーブを素手で捕るって約束だったんですが、初球の真っ直ぐを(打者の)MAKIDAI君が捕っちゃった。まぁ古田かなんかが仕組んでいたみたいですけどね。真っ直ぐも90キロくらいでしたし……」 いつまでもいじられる“素手キャッチ”だが、星野氏は「まぁ、今となってはうれしいですけどね。まだこれを使ってくれるかってね」と逆に楽しんでいる様子だ。現在「星野伸之野球アカデミー」で小学生たちを指導しているが「中嶋に素手で捕られたシーンは映像が残っているから、今、教えている子どもらにも見られていますからね」とも。 「伝説の素手キャッチ」があった1990年当時の星野氏は24歳。若かりし頃の出来事が34年の時を経てもネタになり続けるのは、遅いボールを駆使して1987年から1997年まで11年連続2桁勝利をマークするなど好成績を残したからこそだ。まさにレジェンド。数字だけを見ても、その投球術の巧みさは誰もが感じるところだろう。
山口真司 / Shinji Yamaguchi