日本の富裕層が関心を寄せる「全寮制学校」の全貌 なぜ、世界は「教養・人格教育」を重視するのか
それがボーディングスクールであれば、何か問題があったときでもその子に関してわからない部分は少ないですし、同じ場所で生活を共にしているので話し合う時間も持てます。そういった全方位的なサポートが得られるというのがボーディングスクールのよさだと思っています。 東大の藤井総長にはお話しさせていただいたことですが、日本の頂点というか象徴である東大が、世界から人を集めようといったときに、少なくとも1年目はハウスまたはカレッジのような寮に入って苦楽を共にするという仕組みをつくるべきだと思います。
海外から日本に来ていきなりアパート1人暮らしというのも残念ですし、本当の意味でコミュニティーが形成されていない寝泊まりだけの学生寮に入っても、東京大学で学ぶことの本当のよさがおそらく伝わらないでしょう。強固な人間関係も形成されないのではという気がします。 堀内:アメリカの大学教育についてうかがいたいのですが、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を書いたマックス・ウェーバーは、資本主義の精神はプロテスタンティズムの倫理から生まれたのだと言いました。その資本主義の精神というのは、結局アメリカに渡ったら一種のスポーツのようなものになってしまったと言っています。単純にお金が儲かるか、儲からないかということを競い合うスポーツのようだと。
私はアメリカの教育には優れたところもたくさんある一方で、どうしても資本主義的な匂いが強すぎるなと感じています。リベラルアーツ教育だとかいろいろといいことを言うのですが、最後のところでありとあらゆる問題をお金で解決しようという傾向が強すぎるように思います。 ■資本主義化したアメリカ教育の限界 私は、資本主義の究極の問いというのは、「それって儲かるの?」ということだと思っているのですが、アメリカの教育も結局のところ、かなりの部分が「それって儲かるの?」という問いに収斂してしまっているのではないでしょうか。