就任前に赤木かん子氏の起用を職員に要請、広島県教育長 学校図書館リニューアルアドバイザー
広島県教委による学校図書館リニューアル事業を巡り、平川理恵教育長が就任前の2018年3月、児童文学評論家の赤木かん子氏(東京)のアドバイザー起用を職員に要請していたことが、中国新聞の情報公開請求で分かった。赤木氏の手法には学校現場から不満の声が出ており、今月末の平川氏退任後も、県教委が手法を継続するかどうかが注目されている。 【写真】県立高図書館に置かれているカエルのぬいぐるみ 県教委が開示した資料によると、平川氏は就任3日前の18年3月29日、職員との協議で「赤木かん子さんを招聘(しょうへい)する。学校図書館の事前の下見が必要で、旅費や資材購入費として30万円程度が必要」「将来的には好事例としての普及を図る」などと説明。平川氏が横浜市立中校長だった頃から関係のあった赤木氏の起用を求めていた。 県教委はこれまで平川氏が赤木氏を職員に紹介し、県教委側が起用を決めたと説明してきた。平川氏も23年3月の県議会委員会で「赤木氏にこだわっていなかった」との見解を示していた。 県教委義務教育指導課は「平川氏の発言の記録は残っているが、担当者が代わり、当時どういうやりとりがあったかは分からない」としている。 県教委は18年度、赤木氏の監修で小中高校の図書館リニューアルを推進。19年度以降も赤木氏をアドバイザーとし、22年度までに謝金と旅費計646万円を払った。 図書館リニューアルでは各校が赤木氏の指導で古い本を大量に廃棄し、著書を含む本を購入したり、本の並べ方を独自ルールに変えたりした。教職員の中には「本が少なくなった」「探しにくい」などと疑問の声も出ていた。県教委は23年度、赤木氏の助言を受けずにリニューアルをしたが、監修で得たノウハウの活用を続けている。 平川氏は今月末で2期6年の任期を終える。4月1日付で新たに教育長に就く篠田智志氏は報道陣の取材に対し、個々の政策について「現状がどうなっているのかも含めて話を伺い、具体的に前に進めるところは進めていきたい」としている。
中国新聞社