ウクライナ前外相、「トランプ流外交」けん制…NATO加盟「取引」扱いに警戒感
【キーウ=蒔田一彦】ウクライナのドミトロ・クレバ前外相(43)が、キーウで読売新聞の単独インタビューに応じた。米国のトランプ次期政権がロシアとの交渉を通じた侵略の早期終結を目指す中、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟問題が「ディール(取引)」の一部として使われることに強い警戒感を示した。
ウクライナは停戦後、ロシアの再侵略を防ぐ「安全の保証」としてNATO加盟が不可欠との立場だ。一方、トランプ次期大統領はNATO加盟に反対するロシアを交渉の席に着かせるため、早期加盟に否定的とされる。クレバ氏は「一部の意思決定者は、ウクライナのNATO加盟をプーチン(露大統領)との駆け引きの切り札として見ている」と「トランプ流外交」をけん制した。
クレバ氏は侵略開始前から今年9月まで外相を務め、和平交渉に向けた外交の基本方針を作ってきた。「NATO加盟が戦争終結だけでなく、新たな戦争を防ぐ唯一の方法だとの結論に達すれば、トランプ氏は立場を変えるだろう」とも指摘。「合理的で結果を求める」トランプ氏に対し、粘り強く働きかける重要性を強調した。
インタビューは13日に行われた。