「あの悔しい思いがあったから今がある」本田望結&川口ゆりなが語る“私を強くした経験”
勝ちたいとは思わない、でも負けたくない
──芸歴で言えば大先輩ですが、一緒にやってみて知った本田さんの可愛らしい一面なんかも聞いてみたいです。 川口:沙帆役の白倉碧空ちゃんが現場の盛り上げ役というか、周りを笑わせるようなことをいろいろとしてくれる子なんですね。望結ちゃんは、彼女に対する接し方がいちばんノリノリで、そこがギャップでした(笑)。 本田:たぶんあれですね。そういう子のことを冷たい目で見るタイプだと思ってたんですね(笑)。 川口:違います!(笑)すごくプロフェッショナルなイメージだったから、現場でもピシッとされているのかなと思っていて。 本田:実際の私はそういう面白いことをやっている人を見ると、つい一緒に何かやりたくなるタイプで。碧空ちゃんがあまりにも面白いので抑えきれなかったです。 川口:なんならもうすぐ本番ですというときも、碧空ちゃんをヒートアップさせるようなツッコミをバンバン入れていて。 本田:みんなが「もういいよ」という空気になっている中、私だけ彼女に燃料を投下していました(笑)。 川口:それを見て、望結ちゃんってこっち側にノッてきてくれる人なんだって、すごく親近感が湧きました。 ──本田さんから見て川口さんはどんな人でしたか。 本田:この言い方が喜んでもらえるのかわからないですけど、私の中でゆりなさんはみんなのお姉さん的存在。撮影期間が長くなると負担を感じる瞬間ってあると思うんですけど、そういうところを一切見せない。だから、みんなが頼っちゃうんですね。それを全部受け止めて、頼れる場所として現場にいてくれたことがありがたかったです。 ──お二人の共通点として、本田さんがフィギュアスケート、川口さんがゴルフと、幼少の頃からスポーツに熱中していたことが挙げられます。自分の人格形成にスポーツが影響を与えたところってありますか。 本田:あきらめなければ夢は叶う、という言葉があるじゃないですか。でもそれに対して、結局夢が叶った人たちが言ってる言葉だと否定的に捉える人もいる。 川口:うんうん。 本田:難しいですけど、そうやって否定する人は途中であきらめてしまった人もいるかと思います。もしかしたらその人たちも最後まであきらめなければ夢が叶ったかもしれない。そう考えると、あきらめなければ夢は叶うって思うことはやっぱり正しいんですよね。 川口:本当だ。確かに。 本田:私自身、正直夢なんて何も叶っていないかもしれない。だけど、あきらめなかったら夢は叶うという想いはすごく強い。人生であきらめたことは一度もないと言い切れるくらい、私はあきらめないということを大事にしています。それはやっぱりフィギュアから得たもの。決して自分から終わらせないという姿勢は、今こうやってお芝居の仕事にもつながっているものだと思います。 川口:あきらめないとか、粘り強さって、この仕事をやっていく上ですごく大事ですよね。私がやっていたゴルフは数字がすベて。どんなに綺麗なフォームでも、どんなに綺麗なショットを打てても、数字で勝ち負けが決まってしまう。そういう競技の世界に子どもの頃から身を置いていたので、勝ち負けに対する執着がすごくある。私の負けず嫌いの性格は、ゴルフで培ったものだと思います。 本田:私は競技をやっていて勝ちたいと思ったことはないんです。ただ、負けたくないはすごくある。あと、誰か別の人を目標にしない。「〇〇ちゃんに勝ちたい」みたいな目標って、その子が怪我をしてしまったり不調だったら、自分が何かしたわけでもないのに叶ってしまうことがあるじゃないですか。そういう自分の努力と関係のないことを目標にしないというのはフィギュアをやって学んだことですね。 川口:カッコいいですね。ゴルフも自分との戦いなんです。4人くらいでトーナメントを回るときに、常に1打1打、人のプレイを横で見なくちゃいけない。たとえば、隣の人がバーディーを出したとします。当然、ヤバいって焦りはするんです。でも、そこであきらめてしまったら、全部終わりなんですよね。次のホールで取り返せる可能性もある。そう自分を奮い立たせることで、次のショットにつなげていく。メンタルコントールの重要性は、ゴルフをやって身についたことの一つです。 本田:フィギュアも自分の前に誰かが演技をするので、待ってる間にそれが目に入ることはもちろんあります。でも、私はあまり気にしていませんでした。なぜかと言うと、前の人の演技を見て、その後、自分が失敗したとする。きっとそういうときって前の人の演技を見ていなくても同じように失敗していたと思うんですよ。自分の失敗の理由を、自分以外の何かに結びつけない。その日はそういう日だったって割り切るようにしていましたね。