熊本市電の全国交通系ICカード更新、市長「費用が多額で疑問点もあるが」…来年3月以降に最終判断
読売新聞の年末インタビューで、熊本市の大西一史市長はトラブルが相次いだ市電の安全運行を重視した体制づくりに取り組む意欲を見せた。全国交通系ICカードでの運賃決済を更新するかについては来年3月以降に判断する考えを示した。(聞き手・有馬友則) 【写真】熊本市電
――今年を振り返って。 「元日に能登半島地震が発生し、災害対応に始まった1年だった。職員を延べ約500人派遣し、支援を通じて改めて災害に強いまちづくりを決意した。熊本市では、経済は半導体関連企業の進出で非常に上向きだが、高齢化や人口減少で地域は衰退している。地域の成熟化に向けて第8次総合計画を策定し、新たなまちづくりをスタートさせる節目にもなった」
――市電ではインシデントが相次いだ。 「運転手の育成指導、教育管理、各部門の連携などをさらに深めたい。来年1月には安全対策チームを設置し、非正規職員の待遇を改善する。交通局全体で安全運行を重視する体制を強化していく」
――市電ではICカード更新の課題もある。 「更新費用が多額で疑問点もあるが、市民や観光客の利便性は高めなければならない。来年3月には路線バスでクレジットカードによるタッチ決済が導入される。状況を見極めて最終判断したい」
――内密出産では市と慈恵病院が報告書の作成を進めている。 「現在は民間病院の熱意に依存した状況になっている。子どもの出自を知る権利は非常に重要で、出自に関する情報の管理・保管を公的機関が担う必要があると思う。母子双方の利益が守られるように、病院ともよく協議をしながら検討していきたい」
――来年の重点施策は。 「交通渋滞対策は本当に待ったなしだ。県や周辺市町村と連携して、公共交通の充実や道路ネットワークの強化に取り組む。国内外から移住者が増加しており、地域の防犯力を強化して『安全安心なまちづくり』も進めていく」