福島再生加速化交付金継続に意欲 伊藤復興相「心配しないで」
伊藤忠彦復興相は19日の閣議後記者会見で、政府の行政事業レビューで外部有識者が福島再生加速化交付金の補助内容などを見直すよう求めた提言について「福島県内では懸念が出ているが(地元には)心配しないでほしいと伝えた」と現行制度の継続に意欲を示した。 長期的な復興方針を巡り、伊藤氏は「復興庁の設置期限となる2030年度時点で復興事業が全て終わるとは思っていない。その後の対応については県とよく相談して検討していく」と地元の意向を尊重する考えを示した。東京電力福島第1原発事故による避難指示の解除時期により復興の進展状況は異なるとし「それぞれの地域に心配りをしながら丁寧に要請に応じていく。福島の復興の完了まで一緒に走っていく」と強調した。 交付金の在り方を含む有識者の提言については「受け止める」と述べるにとどめた。
交付金見直しに「怒り」
県内の各市長と内堀雅雄知事の意見交換が19日、福島市で行われた。県内市長からは、政府の行政レビューで外部有識者から福島再生加速化交付金見直しの意見が出たことについて、本県復興への理解が不足しているなどとして国に交付金の継続を求める意見が相次いだ。 加速化交付金は東京電力福島第1原発事故で避難指示が出た市町村などの復興を支援する交付金で、実質的に国が事業の全額を負担している。帰還困難区域が残る南相馬市の門馬和夫市長は、見直し意見について「国の責任の放棄で怒りさえ覚えた」と述べ、被災12市町村や浜通りの市町村が連携して声を上げていく必要があると訴えた。 また、伊達市の須田博行市長は「県の現実を分かっていない。農産物価格が上がっていないなど風評は払拭されていない」とし、須賀川市の大寺正晃市長は交付金を見込んで事業を構築しているとして「先頭に立って(国に)継続を訴えてほしい」と内堀知事に求めた。 内堀知事はすぐに伊藤忠彦復興相と連絡を取ったことを明らかにした上で、26日に予定する政府への要望では「しっかりと話をしながら安心して復興創生に取り組めるよう対応していく」と述べ、第2期復興・創生期間後の復興財源確保も含め、市町村と連携して国に訴えることも検討する考えを示した。
福島民友新聞