応援団派遣できるか センバツ初出場の能代松陽、支援金集めピンチ
第95回記念選抜高校野球大会に初出場する能代松陽(秋田)が、大会に向けた支援金集めに苦労している。応援生徒の派遣費用などに充てようと、出場決定後の2月初めからクラウドファンディング(CF)などで寄付を募っているが、目標の6000万円に対し、集まったのは1日正午時点で約17万円。同校は危機感を強めている。 【岡田結実さんや小芝風花さんらも…歴代センバツ応援イメージキャラクター】 用具やユニホームの新調に600万円▽大会中の選手・監督の滞在に1000万円▽応援生徒の派遣に5500万円――。同校は必要額をこうはじく。 大部分を占める応援生徒の派遣は3回戦まで勝ち進んだ場合を想定し、1回当たり300人程度とする計画。学校から甲子園まで片道約1000キロをバスで移動し、往復の車内で車中泊をすることで宿泊費を浮かせる。 同校は昨夏、11年ぶり4回目の甲子園出場を果たした(うち3回は前身の能代商時代)。1回戦で敗れたため応援生徒の派遣も1回だけだったが、それでも約350人が参加し、かかったバス代(13台)は総額1950万円に上った。 数千万円にもなる臨時の出費を学校や家庭の負担だけでは賄えないとして、同校では過去に甲子園に出場した際も、すべて支援金を募ってきた。昨夏も能代市から1000万円の寄付を受けたほか、野球部員の保護者が勤める企業への募金活動や、過去の出場時に集まった寄付の残りでしのいだという。 一方、県内には夏18回、センバツ6回の出場を誇る秋田商をはじめ、明桜(夏10回)や、18年に準優勝した金足農(夏6回)など強豪がひしめく。能代松陽は甲子園の「常連校」とまでは言えず、初めての夏春連続出場は、学校側にとって“うれしい誤算”という面もある。担当者は「事前に予算を確保していなかった。金額も大きいので、今回も寄付に頼らざるを得ないのが実情。他の公立校も似たような状況ではないか」と理解を求める。 ただ、能代市も今回は「学校から要請があれば検討したい」との立場で、現時点で寄付を確約しているわけではない。過去に集まった寄付金の残りは1000万円ほどといい、必要額には6000万円余り不足する。13年に県立能代北と市立能代商が統合して開校した際に校名が変わったことや、最近の物価高騰も影響しているのだろうか――。同校ではそんな声も漏れている。 選手らは古くなったバットやボールなどを丁寧に使って用具代の節約に努めているといい、同校は「本当はお金を気にせずのびのび練習してほしい。少額でもいいので、多くの方にご協力をお願いできれば」(担当者)と支援を訴える。 寄付はCF(https://shoyo.kas-sai.jp/)のほか、銀行振り込みなどでも受け付けている。問い合わせは同校(0185・89・2021)。【猪森万里夏】