円の急反発、介入リスクへの高まる警戒示唆-昨年10月を想起
(ブルームバーグ): 16日のニューヨーク外国為替市場で円が対ドルで一時急反発したことを巡り、日本当局による介入リスクに対して市場の警戒が高まっているためであり、当局の介入の結果ではない可能性が高いとの見解を野村証券が示した。
円が一時急反発、1ドル=154円04銭まで戻す-その後すぐ再び下落
円はニューヨーク時間午前の取引で一時急反発し、数分間で154円76銭から154円04銭に跳ね上がった。ただ、その後は再び下落した。円は対ドルで34年ぶりの安値圏にあり、ドル高・円安のトレンドが続いているため、市場関係者は日本当局による介入の可能性を示すとみられる急激な動きに注意している。日本当局が前回介入に踏み切ったのは2022年9月と10月だ。
野村の為替ストラテジスト、後藤祐二朗、宮入祐輔、 茂木仁の3氏は16日のリポートで「節目の155円の水準に近づく中で、市場はドル・円相場の突然の下落に敏感になっている」と述べた。「ドル・円相場が一瞬急落した後に、下落が続かなかった点をより重視している」と指摘。今回の急激な動きは市場に介入の可能性を一段と意識させ、「継続している円安のペースを制限する」かもしれないとの考えを示した。
また今回の動きは、昨年10月に円が一時的に急反発したことを想起させるとも指摘した。その際、日本当局が介入に踏み切ったのではないかとの見方も出ていたが、その後発表された公式データにより、日本当局による外国為替市場への直接的な介入はなかったことが確認された。
日本当局、3日に為替介入はしていないもよう-初期データが示唆 (1)
マネックスの外国為替トレーダー、ヘレン・ギブン氏も円の急反発について、市場が介入リスクにますます敏感になっている結果だとの見方を示している。
ウェルズ・ファーゴ証券のチーフアジア太平洋(APAC)担当ストラテジスト、チドゥ・ナラヤナン氏(シンガポール在勤)によると、円ショートが積み上がっていることから、日本当局が介入に踏み切ればドルを対円で押し下げ、効果的な介入となる可能性が高い。同氏は円が急反発する前に顧客に送ったリポートで、それでも「ドルの下落局面では買いが入りやすく、再び上昇に転じる可能性が高い」として注意を促していた。