韓国で進む「超少子化」 秘策は “出産祝い金” 1000万円超!?【WBS】
28日、韓国で2023年の出生率が発表され、過去最低を更新する「0.72」となりました。27日には、日本国内の出生数が過去最少だったというニュースをお伝えしましたが、お隣の韓国では、日本以上のスピードで少子化が進んでいます。社会のインフラの維持などにも影響が出る中、企業などでは新たな取り組みもはじまっています。 【動画】『0.72』の衝撃 韓国社会が壊れる…【ソウル特派員の視点】 28日、韓国統計庁は、女性1人が生涯に出産する子供の数を示す合計特殊出生率を発表。 世界最低水準だった2022年の「0.78」からさらに0.06ポイント低下して、2023年は過去最低の「0.72」だったと発表しました。出生率が「1」を下回るのは、先進国の中でも韓国だけです。また、都市部では状況がさらに深刻で、首都ソウルでは「0.55」となっています。 世界に類を見ない「超少子化」が進んでいる韓国。ソウル市内の若者からは、「0.72!? とても衝撃。このままだと韓国はなくなるのではないか」「マンション価格があまりに高い。教育費も大きくかかるし、出産したい気持ちにならない」との声が上がります。 韓国で少子化が急速に進む背景には、住宅価格の高騰や熾烈な学歴社会からくる教育費の高騰などで、結婚や出産をためらう人が多いことが指摘されています。深刻化する少子化の影響で、全国で保育園や幼稚園が急減しています。ソウル中心部にある国立の保育園でも、79名の定員に対して、児童数は16名で、3月には閉園することが決まりました。 韓国の「超少子化」は、国の安全保障を脅かす事態にもなっています。2040年には20歳の男性の人口が半減するとされる中、成人以上の男性に兵役義務がある韓国では、国防に当たる兵士が不足すると見られているのです。
出産で社員に1130万円!
急速に進む少子化にどう歯止めをかけるのか。今、新たな取り組みも始まっています。 ソウルに本社を置く韓国建設大手の富栄(ブヨン)グループ。グループの会長が2月に打ち出した施策が、2021年以降に子供が生まれた社員を対象に、子供1人当たり1億ウォン、日本円でおよそ1130万円を支給すると発表したのです。 一昨年、子供が生まれた人事部のホ・セミさんは「これが『出産奨励金』の支給証書。仕事始めが2月5日だったが、当日の朝に支給された。使い道はまだ計画していない。子供の教育費などに使うのではないか」と話します。 子供1人当たり1億ウォン(1130万円)の支給は、韓国の企業による出産を受けた支給金としては最高額だとしています。これまで富栄(ブヨン)グループでは、70人弱の社員が支給金を受け取り、中には双子が生まれて合計2億ウォン(2260万円)を受け取った社員もいたということです。 その効果について、人事部のホ・セミさんは「子供が1人目なので2人目も考えられるようになり、もう一度トライしてみようかなと悩んでいる。低出産問題を解決するために多くの企業が参加すべきだと思う」と話しました。