人口減少進む坂井市竹田地区 “地域おこし”にと若者が移住 受け入れる地元住民の意志は…<75万人の未来>【福井】
福井テレビ
人口減少について考える「75万人の未来」のコーナーでは今回、2024年春から取材を続けている人口約270人の過疎地域、坂井市丸岡町の竹田地区について取り上げます。11月の地元の祭りには、地域おこしのために竹田地区に移住した協力隊員が参加しました。その隊員の活動を通して、人口減少の課題を見つめます。 11月、丸岡町竹田地区で、秋の収穫に感謝する祭り「竹田じょんころカーニバル」が開かれました。竹田でとれた食材やゲームコーナーなど11のブースが出展し、中でも野菜の詰め放題には地元が長蛇の列を作りました。 祭りのハイライトの一つ、地区に数百年前から伝わるとされる「竹田じょんころ踊り」には子どもから高齢者までの住民らが参加して、やぐらを囲んで伝統ある踊りに酔いしれました。 祭りには、緑のふるさと協力隊として活動を終えた後も竹田に住み続けている青年、水谷泰志の姿もありました。3年前、愛知県からやってきて、竹田への移住を決めた理由を「隣の人の顔も分からないところから引っ越してきた。竹田は端から端まで知ることができて、おじいちゃんだけど友達がいっぱいいて…。こっちでがんばってみようと思った」と話します。 また、神奈川県から竹田に移住して9年になる久富盛和さんは、竹田地区について「周りが田んぼで空がでかく、景色が違っていいと思った」と移住の理由を話します。しかし、竹田に初めて来た時と比べて、人口が減ったことも痛感しているそうです。 竹田に移住して9年の久富盛和さん: 「僕が移住した時は人口が340人くらいだったが、今は270人ほど。明らかに人が減っている。若いというだけで、出なくてはいけない地域行事がたくさんあり、一人で何役もしないといけないのは、ちょっと大変」 10年前に坂井市の地域おこし協力隊として来た高山陽太郎さんは、地域おこしには住民の熱意が欠かせないと強調します。 地域おこし協力隊員OB・高山陽太郎さん: 「誰のための地域おこしなのかというと、最終的には村の人。外から来た人だけ頑張っても仕方がない。消滅するという選択肢もあるし、一生懸命やろうというのも村の人。結局はそこに尽きる。そうなったときに手伝いができたらいい」 地域おこしをしようと竹田に来る若者を、住民はどう思っているのでしょうか。 竹田地区の住民: 「年寄りばかりだと寂しい感じがするが、若い人が働くと若々しくなる感じ」 「イベントが竹田であるとどこからか戻ってくる。田舎なりのいいとろこがある」 「みな新鮮な存在。刺激を受けられる。いろんな考えのもとになったり、吸収できるので楽しい」 13年前から若者の受け入れをサポートしている竹内作左エ門さんは、竹田のイベント開催時には協力隊のOBたちが自然と集まり住民を支える現状に“隊員の活躍こそ竹田に必要だ”と感じています。 竹内作左エ門さん: 「地域の人に、外部の人が本当に必要だと思ってもらうことが大事。(隊員が)地域のことを感じて、将来やっていきたいという思いがあれば竹田は発展していく」 70年前には人口が1000人にも及んだ竹田地区ですが、今では270人を切りました。人口減少に歯止めがかからない竹田で、この課題とどう向き合っていくのでしょうか。 竹内さん: 「田舎だからこそあるものがある。小さな宝物を探して積み重なっていけば大きくなるという発想で積み重ねていくと上手くいくのかな…」 竹田地区は、10年以上にわたって毎年、全国から若者の受け入れを続けています。いままで竹田地区に協力隊としてやってきて、移住につながった若者は6人で、うち2人が現在も住み続けています。 きっかけは、坂井市の地域おこし協力隊や、そのモデルとなった地球緑化センターの緑のふるさと協力隊として赴任したことなどです。地元の人に溶け込み、地区に必要な人材として受け入れられている印象です。 今後も、この活動を維持していけるかどうかは、行政のサポートだけでなく、地区をどうしていきたいのかという具体的な地区の人の意志も欠かせません。
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