太宰府天満宮で「七夕祭」 境内を彩る”願い事”のアーチ/福岡県太宰府市
本殿の大規模改修が進む太宰府天満宮(福岡県太宰府市)の境内に、七夕飾りを並べた全長15メートルほどの笹(ささ)のアーチが登場し、参拝者を楽しませている。 【写真】七夕を迎える太宰府天満宮
現代アートのような仮殿
太宰府天満宮では、祭神・菅原道真公に縁の深い数字「25」にちなみ、式年大祭を25年ごとに執り行っている。2027年が道真公の没後1125年にあたることから、本殿の大改修を124年ぶりに実施し、現在は本殿の前に「仮殿」が設けられている。 仮殿は傾斜した半円形の屋根に、境内で育った梅やクスノキなど約60種の木や花を植えて森の一部を再現。季節の移ろいとともに、少しずつ表情を変えながら参拝者を迎える。 本殿が完成する26年頃まで見られる現代アート作品のような仮殿は、周囲の森と調和した優れた建築物として「福岡県美しいまちづくり建築賞」の大賞に選ばれた。緑が茂る屋根の上は、まるで“浮かぶ森”のようだ。
たくさんの願いを短冊に
境内を彩る七夕の飾りは、福岡地区明るい社会づくり運動協議会が30年ほど前から設置。この時期の風物詩として定着し、インスタ映えスポットとしても知られる。協議会は毎年6月初旬から、太宰府市内の園児や高齢者施設の入所者らに短冊を渡し、参加を呼びかけているという。 「願い事を書くのが毎年楽しみ」という“おなじみさん“も多いそうで、今年も1000人あまりの願いを託した短冊が集まった。雨に濡れても読めるようにラミネート加工を施したカラフルな短冊が、高さ5、6メートルの笹20本に結びつけられ、頭上を覆っている。
短冊の中には「なわとび 200かいとびたい」「りっぱなおとこのこになれますように」といった愛らしい望みのほか、「一日も早く世界各地の戦争、紛争が無くなりますように」など切実な願いが書かれたものもある。
涼を奏でる鮮やかな風鈴
7月7日に行われる「七夕祭並びに七夕の宴」を前に、太鼓橋と楼門の間にある小道に設置された七夕飾り。隣接する参道には、特製の木枠に掛けられた約800個の色鮮やかな風鈴も登場し、七夕の季節を華やかに演出している。 梅雨の重苦しい空の下、雨上がりの境内を風が吹き抜けると、風鈴が涼しげな音色を奏で、参道を歩く人たちに一服の清涼剤を与えているようだった。風鈴は8月下旬まで境内を彩り、19時30分から21時までライトアップされる。 7月7日夜には、大宰府政庁の後方支援の基地として築かれた、熊本県山鹿市の鞠智城(きくちじょう)との縁から、特設ステージで「山鹿灯籠踊り」が奉納され、七夕祭のクライマックスを迎える。
読売新聞