鈴木志遠「役者として幅広がった」映画単独初主演 順風満帆に見えるも、裏には葛藤も…/後編
俳優鈴木志遠(27)がこのほど、単独としては初主演となる映画「卍リバース」(宝来忠昭監督、24日公開)について、日刊スポーツの取材に応じた。 【写真】初単独主演映画について語った鈴木志遠 同作は谷崎潤一郎の代表作「卍」を元に、舞台を現代に置き換え男女を逆転(リバース)させ、同性愛と不倫が交錯する作品となっている。鈴木は画家の夢を捨て切れず、脱サラして美術学校に通う園田孝太郎、園田の妻・弥生を中崎絵梨奈、園田が通う美術学校の青年宇佐美光を門間航が演じている。 -2019年に「FINEBOYS」専属モデルオーディションでグランプリ獲得。受けたきっかけは 鈴木 大学4年で就職しようと思った時に、とりあえず受けたら受かったんです。それで「内定を断らないと」と思い、実際に断ったら不安に襲われて、2時間くらいぼ~っとしてしまいました。 -モデルから俳優を目指したきっかけは 鈴木 そのオーディションには太田プロ賞もあって、それで事務所に入りました。モデルとしてちょうど悩んでいた時期に「演技をやってみようか」と言われてワークショップに入りました。最初は「そんなつもりはないのに…」と思いつつだったので、不本意ではないけど、本意でもなかったです。でも「こういう道もあるんだ」って。 -22年には映画「ヘタな二人の恋の物語」で、ダブル主演での映画デビュー。他人から見れば順風満帆です 鈴木 本作みたいですが(笑い)自分としては迷い迷いです。特に去年は迷いました。本来は人前に出るのが大の苦手だったので、壁にぶつかって辞めようと思い、事務所にも相談しました。そして、もう1度やって本当にダメだと思ったら辞めればいいと覚悟を決めた時に、この話をいただきました。 -つまり、覚悟をもって臨んだ作品 鈴木 そうですね。本作で役者としての幅も広がった気がするし、やって良かったと思います。自分の殻を破ることもできました。 -抵抗はなかった 鈴木 ありました(笑い)。「ここまでやるのか」とか。いろいろ考えた結果、「人として考えたとき、そこまで性別は意識しなくていいのかな」ということにたどり着いた。 -宝来監督からアドバイスはありましたか 鈴木 否定ではなく「こういうのもありなんじゃない」と選択肢を増やしてくれました。病院のシーンでは「逆に普通を考えてみて。本来はそっちのほうが難しい。特徴がないので、どう引き立てるかを考えてごらん」のアドバイスが心に刺さりました。いまだに結論は出ていませんけど(笑い)。“普通”と日常で使っていた言葉も、適当に使っていたなと痛感しました。 -過去作品は見ましたか 鈴木 あえて見ませんでした。男女違うけど似てしまうのは怖い。だから、そこに関しては入れたくなかったので。 -今後、どんな役に挑戦したい 鈴木 変わった役…は今回やったか(笑い) 自分的には二枚目俳優には立ち向かえないと思うので、そことは違うことをやってみたい。周りを見ていると、どんどん自信がなくなっていくので、自分は違う路線でも見せていけるという風になればいいなと思います。 -最後にメッセージをお願いします 鈴木 昭和の作品を現代に実写化し、男女も入れ替え、愛や憎しみなど4人がすれ違うタブーというか、あまり描かれないところも出せていると思います。1度見てもらい、いろいろ考えていただけたらと思います。 ◆鈴木志遠(すずき・しおん)1997年(平9)2月1日、東京生まれ。19年に「FINEBOYS」オーディショングランプリ獲得で芸能界入り。20年テレビ東京「月曜プレミア8 ドンナビアンカ」で俳優デビュー。186センチ、血液型0。