“伝統の一戦”と呼ばれるドルトムントとバイエルンの一戦を解説<ブンデスリーガ熱狂塾 第3回>
堂安律選手ら日本人出場カードを中心とした「サンデーサッカー ドイツ・ブンデスリーガ24/25」が、BS松竹東急(全国無料放送・BS260ch)にて毎週日曜夜7時より放送中。そこでドイツ在住歴もあるスポーツライター兼コメンテーターのミムラユウスケが、ブンデスリーガにおける“伝統の一戦”について語っていく。 【写真】右サイドを駆けまわるサイドアタッカー・堂安律選手 ■“伝統の一戦”と呼ばれる理由 ドイツ語で「伝統の一戦」という意味を持つ“Der Klassiker”と銘打たれている、ボルシア・ドルトムントとバイエルン・ミュンヘンによる対戦。 「伝統の一戦」を意味するスペイン語は“El Clásico”となり、バルセロナとレアル・マドリードによる一戦を指す。ちなみに「クラシコ」はサッカー界でもっとも有名なライバル対決を指す言葉。ドイツでは、多くの注目を集める「伝統の一戦」。この対戦が注目を集める理由は、両チームの主な功績に隠されている。 ドイツ代表(ドイツサッカー協会)のミュージアムがある都市・ドルトムントを本拠地とするドルトムントは、昨シーズンの平均観客動員数1位、ブンデスリーガの優勝回数は2位。そして、欧州のクラブナンバー1を決めるチャンピオンズリーグの優勝回数は、ドイツのチームの中では2位という結果を残している。 また、2006年ドイツW杯および2024年欧州選手権(いずれもドイツ開催)の開幕戦が行なわれた都市・ミュンヘンを本拠地とするバイエルンは、昨シーズンの平均観客動員数2位、ブンデスリーガの優勝回数1位、チャンピオンズリーグ1位となっている。 これらの成績によって、ブンデスリーガの歴史を担ってきた2チームの対戦が、「伝統の一戦」と呼ぶのにふさわしいということが分かる。 ■今季のドルトムント&バイエルン どちらのチームとも、今シーズンから新しい監督を迎え入れた。しかし、両チームの置かれた状況は対照的となっている。 バイエルンのヴァンサン・コンパニ監督は、かつてチームを指揮したジョゼップ・グアルラディオラの推薦などにより、監督に就任した。徹底してパスをつなぐスタイルで「自分たちはドイツで最も強いチームなのだ」という誇りとプライドをもたらし、順調に首位を走っている。 対するドルトムントのヌリ・シャヒン監督は、トルコ代表を選択した人物ではあるが、ドルトムントの育成組織出身の指導者だ。2010~2011シーズンの優勝の立役者であり、現役時代には長らくチームの中心としてチームメイトを牽引してきた。ただ、開幕から11試合を終えた時点で、首位バイエルンに勝ち点で10点も離されている。シャヒン監督は戦術家の監督として期待されていたが、チームの好不調の波が大きく、批判の対象となってしまっている。 しかし今回の試合が行なわれるのは、ドルトムントの本拠地ジグナル・イドゥナ・パルク。ドルトムントサポーターの集うゴール裏のスタンドだけで約25,000人が、スタジアム全体では80,000人以上が収容できる会場で開催される。そのためドルトムントには、ドイツで最も熱狂的なサポーターの声援を受けてプレーできるというメリットがある。 今シーズンのここまでを振り返ればバイエルン有利となる一戦。しかし、ドルトムントにはブンデスリーガを象徴するような熱狂的なサポーターがいる。今回の試合はどう転ぶかわからないところも、見どころの一つだ。 文=ミムラユウスケ