粘り強さが信条の鳥取城北 春の2勝目狙う センバツ出場校紹介
鳥取城北が2年ぶり4回目に出場する。飛び抜けた存在はいないものの、粘り強く接戦に持ち込む。大林仁監督いわく「負けにくいチーム」だ。中国大会準決勝では、優勝した広陵(広島)を一時リードするなど力を見せ、2年ぶりの出場を決めた。
1年生コンビが攻撃の軸
昨秋の鳥取県大会で3年ぶりに秋の県王座に返り咲いた鳥取城北。続く中国大会は1回戦で益田(島根)、準々決勝でおかやま山陽(岡山)に快勝して4強に進出。準決勝では強豪の広陵(広島)に惜敗したものの、八回に一時勝ち越すなど大接戦を演じて総合力の高さを見せつけた。 チーム打率は3割6分5厘。打線に切れ目がなく、機動力も高い。中でも注目は3番・日下侑太と4番・石黒尚の1年生コンビだ。日下はバットコントロールのうまさが光り、石黒は昨秋の県大会で2本塁打を放った。5番で主将の河西華槻(2年)が加わった中軸は破壊力抜群だ。
フォーク磨いた本格派エース
投手陣を引っ張るのは本格派右腕のエース・新庄空(2年)。140キロ前後の直球と鋭いフォークを武器に打たせて取る。中国大会では全3試合に先発し、準々決勝ではおかやま山陽打線を完封してみせた。中学時代の「兵庫夢前ヤング」からバッテリーを組む河西も「昨秋からフォークの制球が良くなり、投球の幅が広がった」と手応えを口にする。守備はセンターラインを中心に安定している。 大林監督は21年8月に就任後、チームカラーに変化を加えてきた。これまでは「打ち勝つ野球」を掲げ、練習の9割を打撃練習に費やしていたが、自身が得点の入りづらい軟式野球でのプレーを経験したことから「1点の重み」を実感。練習メニューでバント、守備の割合を増やした。 作戦面でも犠打やセーフティースクイズを「消極的ではなく、攻めのサイン」と多用。守備は中国大会2回戦・おかやま山陽戦で4併殺を記録するなど成果が出始めている。 センバツでは前回出場時に初勝利を挙げたが2回戦で敗退。河西は「1戦1戦戦っておととしを超えたい。目標は全国制覇」と力を込める。
相撲部も名門出身者に横綱・照ノ富士関
1963年開校の私立校で、校訓は「質実剛毅(ごうき)」。知・徳・体の調和がとれた教育を掲げ、明朗闊達(かったつ)で進取の気性に富んだ人材の育成を目指している。 野球部創部は69年。過去の甲子園出場は春3回(中止の2020年大会含む)、夏5回で、通算成績は春夏各1勝。主なOBに、プロ野球・広島や巨人で活躍した元投手の川口和久さん、阪神やオリックスでプレーし昨季限りで引退した元投手の能見篤史さんら。 他の運動部や文化部も盛ん。特に相撲部は名門として知られ、出身者に横綱・照ノ富士関や石浦外喜義校長の長男でもある石浦らがいる。