中国産「農薬漬けシャインマスカット」が東南アジアで大炎上…怪しい日本語が書かれた“激安ブドウ”の実態
■「中国」と「韓国」にやりたい放題されている 現地在住者によると、シャインマスカットはタイ同様に叩き売りされている状況が続いているという。実際に筆者がインドネシアにおけるシャインマスカットの販売状況を調べると、驚くべき実態が浮かび上がってきた。 その前に、まず、シャインマスカットとは何か、軽く説明させていただきたい。このブドウは元々、日本の農林水産省が所管する農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)によって育種・登録された、広島県で生まれた品種だ。ブドウの種がないため、食べやすく甘味に定評がある。値段も比較的手頃な価格帯から数万円する高級品など幅広い。 2006年に国内で品種登録されたが、当時は輸出を想定していなかったため、海外での品種登録を行っていなかった。それが仇となり苗木が海外に流出、中国や韓国などで栽培されてもライセンス料やロイヤリティー(使用料)を徴収する権利をもっていないため、農林水産省の推計によると、すでに100億円以上の損失を生んでいるという。 東南アジアで流通するシャインマスカットの大部分は韓国産か中国産で、先ほど取り上げたタイとインドネシアでもこの二つが主流となっている。なぜ日本産が出回らないのかと言えば、単純に価格の問題が大きい。 ■農水省関係者「中国にマーケットを取られ、悔やまれる」 韓国産や中国産は一房5万~6万ルピア(日本円で約600円)のため、現地の人の「たまに食べるちょっと高級な食べ物」という価格帯。 一方の日本産の輸入品となるとそもそも出回る数も少なく、価格は一房最低50万ルピア(約5000円)となるため、値段が約10倍に跳ね上がるというわけだ。日本の農林水産省の関係者は以下のように話す。 「中国産と韓国産のシャインマスカットの味については、基本的にオリジナルの日本産と比べれば甘味や見た目のふくよかさなどの点ではまるで及ばない。ただ、中国の一番貧乏な貴州(きしゅう)(編集部注:中国西南部にある山岳エリア)でも栽培が確認されているシャインマスカットは、質を問わずに大量生産するという一点においては中国にマーケットを取られていると言わざるを得ないのが悔やまれるところだ」 前置きが長くなった。では、インドネシアではどのようにシャインマスカットが売られているのだろうか。