核のごみ 佐賀県玄海町長が文献調査「受け入れ」を表明 「一石投じたい」と会見で 原発立地自治体としては初
原発から出る高レベル放射性廃棄物いわゆる「核のごみ」について、佐賀県玄海町の脇山町長が最終処分場の第一段階となる「文献調査」に応募することを明らかにしました。会見で「日本社会にとって欠かせない最終処分場への関心が高まることにつながり、国民的議論を喚起する一石となればと思う」と話しました。 【写真で見る】玄海原発
「最終処分場 議論喚起の一石に」と会見
佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長は10日午前10時から非公開で開かれた町議会の全員協議会に出席したあと会見し、最終処分場の第一段階となる「文献調査」を受け入れる考えを明らかにしました。文献調査を巡っては、町の「旅館組合」や「飲食業組合」など3団体から応募を求める請願が提出され、4月26日に議会が採択。脇山町長が5月中に受け入れの可否を判断すると説明していました。
佐賀県知事「負担受け入れるつもりない」
一方、文献調査の次の概要調査に進むには、知事の同意が必要になります。佐賀県の山口知事はこれまでに「最終処分場は必要」としつつも「新たな負担を受け入れる考えはない」と強調しています。
高レベル放射性廃棄物「核のごみ」とは
原子力発電所で使用した燃料の95%はリサイクル可能です。残り5%はリサイクルできない廃液で処分しなければなりません。しかしこの廃液は放射能がとても強いので、ガラス原料と混ぜ合わせ、ステンレス鋼の容器の中で冷やして固めます。このガラス固化体が高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」です。現在、日本では約2000本以上の核のごみが青森県の六ヶ所村の施設で冷却保存されていますが、最終的には別の場所で処分しなければなりません。そのため、地下300メートル以上の深さの岩盤に処分することが検討されています。地層処分を安全に行うために専用施設の建設が計画されていて、処分地の選定が進められています。
「核のごみ」処分地の選定プロセス
応募があった市町村で施設が整備できるのか、まず文献や資料で調査します。文献調査は約2年かけて火山や活断層のデータなどを調べるもので、調査を受け入れた自治体には国から最大20億円が交付されます。その後、ボーリング調査を約4年、地下施設での調査を約14年かけて行い、処分施設の建設地が選定されることになります。各段階の選定にあたっては知事と市町村長の同意が必要となります。