あなたの知らない札幌《JR展望室》前編 夜景や小樽も望める大パノラマ
【北海道・札幌】人口200万人の声も聞こえる北の大都市・札幌。その札幌には、多くの観光地や名物施設があります。とはいえ、札幌市民ですらそれらのすべてを知っているわけではありません。そこで不定期連載として「あなたの知らない札幌」と題した企画をスタート。第5回前編は、JR札幌駅直結のJRタワーにある展望室「T38(タワースリーエイト)」(札幌市中央区)の歴史をスタッフに伺いました。(構成/橋場了吾)
高さ160m、360度のパノラマで札幌を一望
JRタワー展望室「T38」がオープンしたのは13年前の2003(平成15)年の3月です。去年、入場者数が400万人に達しました。 オープン当初は多くの札幌市民の方々に来ていただきましたが、現在は観光客の方が多くなっています。地元の方からは「JRタワーの展望室に行ったことがない」という声もあるので、多くの市民の方に来ていただきたいと思い、JRタワー全体での施策などによる呼び込みも行っています。 「T38」という名前ですが、これは北海道で一番高い建物(174m)であるJRタワーの38階にあることが由来になっています。展望室自体の高さは160m、東西南北がガラス張りになっているので、札幌市内を360度パノラマで眺めることができます。 この160mという高さですが、車の動きや人の動きが肉眼でも確認でき、より遠くの場所も見えやすい絶妙な高さとなっています。札幌の息遣いが聞こえ、リラックスできる…。そんな空間を目指して作られたのがT38なんです。
「変化する」札幌、「変化しない」T38
360度見渡せるということは、東西南北で全然違う魅力があるのがT38の大きな特徴です。6階から38階までの直通エレベーターを降りると、まず飛び込んでくるのが北側の景色です。ここは唯一海(石狩湾)が見える方角で、天気が良ければ小樽まで見渡すことができます。実は私の家がこの方角なのですが、普段見慣れた景色を160mの高さから見るのは新鮮でした。札幌市民の方々には、日常の景気を非日常の場所から見る楽しみもあると思います。 順路で行くと、植物園や山の稜線など緑がいっぱいの西側、ススキノやテレビ塔など札幌市の中心部にあたる南側、晴れた日には札幌から200km近く離れた十勝岳の噴煙も見えるなど北海道の雄大さを感じさせる東側と巡っていきます。 昼間の景色として一番おすすめなのは西側です。今の季節は緑で、紅葉の季節には色づき、冬には雪で白くなる山々、ビル群と電車たち、そして青い空…、これぞ札幌!というのが味わえます。また、夜景としてはやはり南側です。札幌の中心部にあたる場所なので、夜遅くまで明るく「日本“新”三大夜景」にも選ばれた札幌の夜を楽しむにはこの方角が最適です。この13年間で一番大きく街並みが変化した方角で、現在も大きな工事が行われている最中です。 このように「変化する札幌」を楽しめるのがT38なのですが、T38自体は「変化しない」ことがコンセプトになっています。事実、改装工事はほとんど行われていません。それは、JRタワーという商業施設の中で一番リラックスできる場所を提供したい、そのためには変化することなくいつも落ち着いた空間にしたいという私たちの願いからなのです。 (後編へ続く)