浅香唯「親衛隊がいたから、アイドルでいられた」熱烈な声援から警護までしてくれた貴重な存在
80年代のアイドルには一般的なファンとは異なる、ある集団が存在しました。それが「親衛隊」です。コンサート会場や自宅など、過激な追っかけから身を守ってくれる存在だったといいます。ファンとアイドルの崇高な関係がそこにはありました。(全5回中の2回) 【画像】この衣装にこの笑顔!王道アイドル姿の浅香唯さん ほか(写真7枚)
■過激なファンから守ってくれた「親衛隊」の存在 ── 80年代のアイドルに欠かせないのが、熱狂的なファンである「親衛隊」の存在です。おそろいのはっぴを羽織り、頭にハチマキという気合の入った出でたちで、推しに熱い声援を送る親衛隊の姿は、“歌番組の風物詩”ともいえる光景でした。
浅香さん: 親衛隊の方たちは、一般のファンの方とはちょっと違っていて、コンサートや歌番組などで熱心に応援してくれるだけでなく、過激なファンから私を守ってくれる身辺警護のような役割も担っていました。当時は、なぜか住所がすぐに知られてしまうので、追っかけやファンの方たちが自宅マンションの前に集まってしまうんですね。でも、親衛隊の方たちが、騒ぎにならないように目を光らせてくれて、私が仕事に行くときには、いつも見送りと出迎えをしてくれていました。
── 距離感が近いのですね。サインを求められたり、話しかけられたりしませんか? 浅香さん:そういうことはなかったです。詳しくはわからないのですが、どうやら親衛隊のなかでルールが決められていたようなんです。サインを求めないとか、写真を撮っちゃダメとか、体には触れないとか。迷惑な思いをしたことは一度もなくて、むしろ心強い存在でした。コンサート会場に行くと、会場の外で親衛隊の皆さんが一生懸命にかけ声の練習をしているのですが、その姿を横目で見ながら会場入りすると、気持ちがすごくあがるので、ありがたいなと感じていましたね。
── 当時、親衛隊だった方に「じつは当時…」と、声をかけられることは? 浅香さん:それが一度もないんですよ。もしかしたら、いまもライブに来てくださっている方のなかにいるのかもしれませんが、どなたも名乗り出てくれなくて…。誰かひとりくらい、「昔、親衛隊でした!」と言ってくれてもいいのなと、待っているのですが(笑)。かなりの人数の方がいたはずなのに、いまだにお会いしたことがないんです。 ── まるで忍者のようですね(笑)。“本人に親衛隊だったことを明かしてはいけない”という掟でもあるのでしょうか。