大の女好きだけど…『シティーハンター』冴羽獠が「男を守った」レアエピソード
■あの獠が少年を一人前の男として認めた!? 「かわいい家庭教師!の巻」
第56話の「危険な国からきた女!の巻」では、クーデターが起こっているエマリア共和国から逃亡してきた少年・松岡拓也と家庭教師の川田温子が登場。エマリア政府の機密文書を反乱軍に渡そうとした疑いで、通信社の記者である拓也の父が捕らえられる。 機密文書の在り処を探す政府諜報員によって、息子の拓也も狙われたのだが、温子によって何とか日本へと逃げてこられた。 警察も信用できない温子は伝言板にXYZを残したのだが、日本まで追ってきた諜報員によって襲われたところを、待ち合わせ場所から追跡した獠によって助けられる。 深い傷を負ってまで拓也を助けようとする温子のため、獠は依頼を引き受ける。続く57話の「かわいい家庭教師!の巻」では、温子をめぐって拓也に対して妙なライバル心を抱く獠にはウケたが、安心しきって温子と一緒に寝ている拓也を見て、「寝顔だけはかわいいな……」とさりげなく優しい表情をするのがまたカッコいい。 そして、地下の射撃場で自分も拳銃を撃ちたいと言う拓也。彼は自分で自分を守りたいと言い、そうすれば温子を危険な目にあわせずに守ることもできると真剣に訴えるのだ。 その決意に心を打たれた獠は、拳銃の扱いをレクチャーし、これまでぼうずと呼んでいたのに拓也と名前を呼ぶ。そして、初めて名前で呼んでくれたことに感動する拓也に対し、「一人前の男を名前で呼ばないなんて失礼だろ?」とカッコいいセリフを口にした。 あの獠が子どもを男と認めて銃の扱いを教えるなんて、かなりレアなストーリーで、改めて読み返すとさらに驚いたものである。
■紆余曲折のすえ似たもの爺さんを救うことになった「ふたりのシティーハンターの巻」
第259話では獠と同じくらいスケベなおじいちゃんが登場する。まずは着物美人の神宮寺遙が獠にナンパされ、続いて「キャッツアイ」(海坊主の喫茶店)で遥の義理の祖父である神宮寺道彦が野上冴子に連れられて登場。冴子の他にも、美樹や香と順番にナンパしていくから困った爺さんである。 人探しをしているという道彦は、探しているのは中米の飛行機事故で消息不明となった孫・「諒一(りょういち)」だと話し、幼少期に飛行機事故に遭遇した獠との血縁関係を匂わせる。まあ、その無節操なスケベさは獠と匹敵するレベルだし、お互いに同じ行動をしてばかりだから、血のつながりがあっても不思議ではない……。 さて、道彦は嘘の脅迫状を使って遙のボディガードを獠に頼み、四六時中一緒にいることでわざと手を出させてふたりを結婚させようとする。そうすることで、孫と信じる獠をつなぎとめようとしたのだ。獠は香が前金をすでに生活費に使ってしまったことで、仕方なく依頼を引き受けることになった。 ところが、遙と獠が街を歩いているときに狙撃され、本当に狙われていることが判明。しかしこれは実は黒蜥蜴というプロの殺し屋による襲撃で、標的はシティーハンターの獠の方だった。 その後、獠の父親と誤解した黒蜥蜴によって道彦が拉致される。道彦は遙が脱いだ下着を持ち去っており、どうしようもない爺さんなのだが、そのおかげで獠も本気を出して下着の救出に向かう(爺さんはついで)。 結果的に香のサポートもあって爺さんを救出することに成功するのだが、このエピソードの見どころといえば第264話の「ふたりのシティーハンターの巻」だろう。 獠にやられた黒蜥蜴は香を加勢させたことに憤りを感じ、“シティーハンターが聞いて呆れる”などと非難するのだが、それに対し獠は「シティーハンターてのはな!! おれたち ふたりのコンビのことを言うんだぜ!!」と笑顔で香を抱き寄せるのだ。 この場面は最高に微笑ましく、それまで遙の登場でモヤモヤしていた香の葛藤が分かるだけに、今読み返してもニヤっとしてしまう名シーンである。 こうして改めて振り返ってみても、『シティーハンター』はやはり面白い。どうしようもない女好きではあるが、男だってしっかりサポートしてくれる獠の姿がカッコよかった。
ジャッキー