26歳・葵わかな、ハードだった10代を回顧「気を張って肩の力が抜けず」 20代で「メリハリをつけられ」
意外な二面性「面倒くさがりで真面目」
2019年のミュージカル『ロミオ&ジュリエット』以来7作目の舞台出演だが、まだまだ分からないことが多いので」と謙虚でいる。 「舞台の良さって、長い稽古期間に想像もしていなかったお芝居になっていくことや、知らなかった私の一面に出会えることです。自分の考えに凝り固まっていると、そういった新しい発見もありません。稽古始まりは毎回自信がなくてドキドキしているのですが、その場で考えたこと、感じたことをベースに役を作っていった方が得られるものが多いです」 貧しいが人柄のよいシェン・テが、冷徹なビジネスマンのシュイ・タに変装する。それに絡め、葵に「自分の“二面性”を実感したことは」と問うと「ありますね」と即答した。 「面倒くさがりでもあり、真面目でもあり(笑)。以前はもっと生真面目だったかも。10代で芸能活動を始めて、学校にも通っていたのでハードなスケジュールでしたし、精神的にも気を張っていて肩の力が抜けませんでした。26歳になりましたが、20代に入ってからは少しずつ肩の力を抜いてメリハリをつけられるようになってきたと思います」 人は貧しくても幸福になれるか、善人でい続けることができるか…。“シェン・テの物語”は普遍的なテーマを問うてもいるが、葵自身はどう考えているだろうか。 「シェン・テのような優しすぎる人って、他人にとっては都合がいい人でしかなくて、本当に人のためになることをしてくれる人ではないなと思います。人が良くても彼女のように損ばかりしていたら本末転倒といえるのかもしれません。シュイ・タは合理的で冷たそうですが、“ダメなものはダメ”とやってはいけないことをきっぱり指摘してくれる人でもあり、100%嫌な人でもありませんよね。どちらの性格にも共感できます」 インタビュー中、葵は何度も「現場に入ったら、作品に今と違うイメージが生まれそうです」と役作りへの期待を口にした。 「大いに感動をしたり、人生観が揺さぶられるような体験をした時って、たいていフィクション、エンタメに触れた時です。実生活の中ではなくて。これこそが演劇の意義だと思っていて、『ふとした瞬間に皆さんそれぞれの心に響く体験になれば』と思って演じます。脚本にブレヒトが込めた意図も推しはかりつつ、私が感じたこともお芝居に込めていきます」 葵は自分自身にも、観客にも「発見」をくれる演劇の力を信じて今回も舞台に立つ。 □葵わかな(あおい・わかな) 1998年6月30日、神奈川県生まれ。2009年に俳優デビューし、舞台、ドラマ、映画、CM、ナレーションなど幅広く活動。17年にはNHK連続テレビ小説『わろてんか』でヒロイン・藤岡てんを演じた。19年に『ロミオ&ジュリエット』でミュージカルに初出演し。20年と23年には『アナスタシア』でヒロイン・アーニャ役。今年9月から放送の NHK BS時代劇『おいち不思議がたり』にはおいち役で主演。158センチ。
大宮高史