1997cc直列4気筒ディーゼルターボに小型モーターを組み合わせる。

一部改良を受けた最新の「レンジローバーヴェラール」は、さまざまな変化が施された魅力的な1台だった！ 大谷達也がレポートする。 【写真を見る】新型レンジローバーヴェラールの内外装（16枚）超スッキリとしたインテリアが斬新！

実にイギリス車らしい変化

これはジャガー・ランドローバーではよくあることだけれど、1年ごとに行なう年次改良で、他ブランドのマイナーチェンジに匹敵するような大規模な仕様変更が行われることが少なくない。先ごろ導入されたレンジローバーヴェラールの2024年モデルがまさにそれで、2.0リッター・ガソリンエンジンにPHEV版が追加され、かつインフォテインメント・システムの大幅改良に伴ってコクピットまわりの印象がガラリと変わった。 よくよく見れば、フロントグリルやヘッドライト周辺のデザインも微妙に変化しているのだけれども、これらは従来型と見比べないと気がつかない程度。つまり、見ためよりも実質重視の見直しが実施されたのだ。この辺の“慎ましさ”は、実にイギリス人らしいというか、イギリス車らしいと思う。 その内容をもう少し詳しく説明すると、ヴェラール初のPHEVモデルは、ジャガーランドローバーが独自開発したインジニウム4気筒ガソリンエンジンに最高出力105kW（143ps）の強力なモーターを組み合わせたパワートレインを搭載。容量19.4kWhのリチウムイオンバッテリーにより最大64km（WLTP値）のEV走行が可能という。 いっぽうのインフォテインメントシステムは、ダッシュボード上に11.4インチの大型タッチスクリーンを装備。エアコンを始めとするさまざまなコントロールをこのスクリーンに統合した結果、ダッシュボードやセンターコンソールまわりから物理スイッチ類がほぼ一掃されたのが特色で、おかげで同社チーフクリエイティブオフィサーのジェリー・マクガバンいうところの“モダンラグジュアリー”な世界観が一層、進化したように思える。 それにしても、このスッキリとしたデザインはすごい。なにしろ、いまやセンターコンソール上に設けられたコントロール類はシフトセレクターのみ。自動車のインテリアデザインで、ここまでミニマリズムを追求した例は稀だろう。 ただ、それが「妙に寂しい」とか「なにか間が抜けている」といった印象を与えることなく、ひと目見た瞬間に「新しい！」と、感じさせるところが、マクガバン率いるデザインチームの手腕が冴え渡っている点。おそらく、このデザインにいたるまでの間には、センターコンソールの形状やシルバーの加飾、そしてそれらの全体配置を何度も見直したはずだろう。そういった緻密な作業があって、初めて映えるのが、このシンプルでピュアなデザインではないのか。そんなことを思わず想像したくなるくらい、魅力的なインテリアだった。