米FAA、スペースXに制裁へ 23年の打ち上げで要件満たさず
[ワシントン 17日 ロイター] - 米連邦航空局(FAA)は17日、実業家イーロン・マスク氏が率いる米宇宙開発企業スペースXが2023年の2回の打ち上げの際、順守すべき規則を満たさなかったとして、合計で63万3000ドルの制裁金を科す予定だと明らかにした。 23年6月のフロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地からの打ち上げの際、スペースXはライセンスに関する通信計画改訂に関しての承認を得ていなかった。この結果、承認を受けていない打ち上げ管制室を使用したほか、必要とされる調査を実施しないまま打ち上げに至った。 23年7月のフロリダ州ケネディ宇宙センターからの打ち上げに関しては、ライセンスに関連する計画変更を申請したものの、ミッションの前に未承認のロケット推進薬剤を使用した。 FAAの首席顧問マーク・ニコルズ氏は「FAAでは安全があらゆる活動の基本であり、商業宇宙輸送ライセンスを持つ企業に対する安全監督の法的責任もある」と言及。「企業が安全要件を順守しなければ結果が伴うことになる」とも指摘した。 スペースXはコメント要請に応じなかったが、マスク氏は交流サイト(SNS)のXで、FAAの措置は政治的な動機によるものであるとして、異議を申し立てる意向を示した。 スペースXはFAAの通知を受領してから30日以内に回答する必要がある。FAAの案では23年6月分の違反行為2件で17万5000ドルずつ、7月分には28万3000ドルの制裁金を科すとしている。 スペースXを巡っては、22年8月のスターリンク衛星の打ち上げ前に安全データを提出しなかったとしてFAAが23年2月に17万5000ドルの制裁金を請求し、スペースXが23年10月に同額を支払った経緯がある。