回鍋肉定食、休みます キャベツ高騰、県内飲食店悲鳴
●仕入れ値1玉1000円超 「回鍋肉(ホイコーロー)定食、休みます」。キャベツの高騰に苦しむ石川県内の飲食店で、ついにこんな張り紙が登場した。今月に入り、県内のキャベツの取引価格は昨年の2・5倍に跳ね上がり、青果店、飲食店からは「仕入れ値が1玉千円を超えた日もある」と悲鳴が上がる。一般の食卓にも欠かせない野菜とあって、電気代アップなどにあえぐ家計にも大きな打撃となっている。 「キャベツ高騰のため、しばらくの間お休みします」 金沢市小橋町の飲食店「いなばや」は5月中旬、店内に張り紙を出した。提供を取りやめたのは、回鍋肉定食(980円)と野菜炒め定食(950円)。いずれもサラリーマンに人気のメニューだ。 張り紙を見て「ありゃー、食べたかったんに」と残念がる常連客もいた。 ●レタス、モヤシで代用 キャベツを使うメニューは他にもあるが、全ての提供を中止するわけにはいかない。店によると、焼きそばやサラダに使うキャベツは量を減らしたり、レタスや水菜、モヤシを代用したりしている。 「キャベツはどんな料理にも使える万能な野菜だからね。値上がりは困るわ」。店長の稲葉直美さんはため息を漏らす。 影響は石川のソウルフードにも及ぶ。 ●ハチバン「値上げはしない」 「8番らーめん」を展開するハチバン(金沢市)といえば、定番メニューの「野菜らーめん」。当然、キャベツは欠かせない。 担当者は「具体的な方法は秘密だが、仕入れの方法を工夫し、価格を抑えながら量を確保している」と説明。「お客さまのため、価格転嫁はしない」と強調した。 青果卸の丸果石川中央青果(金沢市)によると、金沢中央卸売市場では5月の平均取引価格が17日時点で1キロ217・5円を記録。昨年の83・7円から大きく上がった。 近江町市場の「北形青果」は、高騰を受けてキャベツの仕入れを例年の2割に減らした。仕入れ値が1玉千円を上回ったこともあるそうで、店長の北形謙太郎さん(46)は「キャベツを1玉千円以上で売っても誰も買ってくれん」と苦笑いを浮かべた。 JA金沢市の直売所「ほがらか村野田店」でキャベツを品定めしていた同市内の三木淳子さん(67)は「せめて一つは家に置いておきたい。でも、こんなに高いのは初めて」と話し、価格が早く落ち着くよう願った。 ●価格は徐々に低下 農林水産省によると、4月は千葉や神奈川で降水量が多く、キャベツの品質低下によって大量の廃棄が出た。同省担当者は、5月中旬から、茨城産や群馬産が出荷のピークを迎えているとし、「価格はこれから徐々に下がるとみられる」との見方を示した。